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2026年4月4日

― 「同意書」と「施術報告書」をやさしく解説 ―

 最近、健康保険での「病院に通いながら鍼灸を受けてもいいんですか?」という質問をよくいただきます。
答えはもちろん “大丈夫です”。
 むしろ、うまく組み合わせることで体がラクになる方も多いんです。
ただ、そのときに登場するのが
? 医師の「同意書」
? 医師への「施術報告書」
という2つの書類。
 名前だけ聞くとちょっと堅苦しいですが、実はどちらも患者さんの安心のためのものなんです。

? 「同意書」ってなに?

ざっくり言うと、
たとえば、
? お薬を飲んでいる
? 持病がある
? 手術後のケアをしている
 など、体の状態によっては注意が必要な場合があります。
そこで、医師が状態を確認して「OK」を出してくれると、鍼灸師も安心して施術できます。
患者さんにとっても、
「お医者さんも知ってくれてるんだ」
という安心感につながります。

?? 「施術報告書」って必要なの?

 鍼灸を受けたあと、鍼灸師が医師に
? どんな施術をしたか
? どんな変化があったか
? 今後どうしていくか
 などをお知らせするためのものです。
これは、患者さんの体を“みんなで見守る”ための連絡帳
のようなイメージ。
 病院では数値や画像で体をチェックしますが、
鍼灸では「巡り」や「体質」など、別の角度から体を見ています。
その情報を共有することで、
より安全に、より安心して治療を続けられるようになります。

? 鍼灸と病院、どっちがいいの?

 どちらが良い・悪いではなく、
役割がちがうからこそ、組み合わせると強い
というのが本音です。
? 西洋医学:原因を見つけて治療するのが得意
? 東洋医学:体全体のバランスを整えるのが得意
この2つが手を取り合うと、
患者さんの体はよりスムーズに回復していきます。

? 結論

「同意書」も「施術報告書」も、
難しい書類ではなく、
**あなたの体を守るための“安心セット”**です。
 病院と鍼灸がうまく連携できると、
治療の幅が広がり、体も心もラクになっていきます。
これからも、
あなたの健康を支える“チーム医療”の一員として、
やさしく寄り添える鍼灸でありたいと思っています。

中醫教科書 第25集 大腸是傳導器官

20263月31日,

?「伝導の官」としての大腸

? 鍼灸が整える、排出と巡りの知恵 ?
 東洋医学では、大腸は「伝導の官」と呼ばれます。
これは、小腸から送られてきた糟粕(食物残渣)を受け取り、下へと導き、最終的に体外へ排出する役割を意味します。
 単なる排泄器官ではなく、“流れを整え、不要を手放す”知恵の象徴なのです。

? 伝導とは「流れを止めないこと」

 大腸の伝導作用は、蠕動運動によって便を形成し、排出へと導く働きです。
 ここに滞りが生じると、便秘や下痢、腹部膨満感など、日常生活に直結する不調が現れます。
 鍼灸では、大腸経や腹部の経穴を刺激することで、この“流れ”を整えることができます。

? 肺との表裏関係
 大腸は肺と表裏関係にあり、呼吸の「粛降作用」が大腸の伝導を助けるとされます。つまり、呼吸が深く整っていると、排泄もスムーズになるということ。
 鍼灸では、肺経と大腸経のバランスを取ることで、呼吸と排泄の両面にアプローチできます

? 津液の調節と便の質

 大腸は糟粕から水分を再吸収し、便の性状を整える役割も担います。
水分が多すぎれば下痢に、少なすぎれば便秘に。
 鍼灸では、燥湿のバランスを調えることで、津液の代謝を助け、便の質を安定させることが可能です。

? 鍼灸で整える「手放しの力」

 鍼灸では、天枢(てんすう)・大巨(だいこ)・上巨虚(じょうこきょ)・合谷(ごうこく)などの経穴を用いて、大腸の伝導作用を促進します。
 これらのツボは、腹部の張りや便秘、冷えなどに対して効果的であり、“流れをつくる”施術として重宝されます。
 また、心身のストレスが排泄に影響することも多く、気の巡りを整えることで、自然な排出力を取り戻すことができます。
 季節が余分なものを手放すように、私たちのからだもまた、不要なものを流し、軽やかさを取り戻す力を持っています。
 大腸の「伝導の官」としての働きに耳を傾けることは、心身の整理整頓を促す第一歩。鍼灸はその静かな後押しとなるでしょう。

中醫教科書 第24集 小腸是接受生長的影響、化學物質與混濁度 第二部分

20263月 29 -

? 受盛 ? 受けとめる力

 胃から送られてきた飲食物を、まずはしっかりと受けとめる。これは、外からの情報や感情を受け入れる私たちの心の在り方にも通じます。
 日々の忙しさの中で、何を受け入れ、何を流すか。その選択は、心身の健やかさに直結します。

? 化物 ? 変化させる力

 小腸は、受け取ったものを“精微”と“糟粕”に分けるために、さらに変化させます。
 これは、経験や出会いを自分の糧に変える「内なる消化力」とも言えるでしょう。
 鍼灸では、脾胃と小腸の気の巡りを整えることで、心身の変化への柔軟性を高めることができます。

? 清濁の泌別 ? 見極める力

 最も象徴的なのがこの作用。必要なもの(清)を吸収し、不要なもの(濁)を排出する。
 まさに、“選び取る力”の核心です。現代は情報も感情も過多な時代。だからこそ、小腸のように「何を取り入れ、何を手放すか」を見極める感性が求められます。

中醫教科書 第23集 小腸是接收、化學物質與混濁的影響 第一部分

20263月21日,

 小腸の知恵に学ぶ、からだの“選び取る力”

? 鍼灸と東洋医学における「受盛・化物・清濁」?


 東洋医学では、小腸には「受盛(じゅせい)・化物(かぶつ)・清濁(せいだく)」という三つの重要な作用があるとされます。
 これは単なる消化器官としての役割を超え、私たちの“選び取る力”を象徴する存在でもあります。

? 鍼灸で整える“小腸の知恵”

 鍼灸では、**中?(ちゅうかん)・天枢(てんすう)・関元(かんげん)**などの経穴を用いて、消化吸収のバランスを整え、小腸の働きを高めます。

另外心と小腸は表裏関係にあるため、ストレスや不安が消化器に影響することも。
 心身一如の視点から、鍼灸はその両面にアプローチします。

 自然界が実りを迎えるように、私たちのからだもまた、日々の選択と変化を通じて成熟していきます。

 小腸の小腸の働きに耳を傾けることは、自分自身の“内なる選択眼”を育てること。鍼灸はその静かな後押しとなるでしょう。

中醫教科書 第22集 胃功能接受、腐熱與和諧下降 第二部分

20263 月 11 日 -

?? 和降──下へと和らげて送る

 和降とは、胃が処理した食物を小腸へと穏やかに送り出す働き。
この“降ろす力”が乱れると、吐き気、ゲップ、逆流、胃酸過多などの症状が現れます。

 「胃は降をもって和とする」と言われるように、胃の調和は“下へ流れる”ことによって保たれます。
 鍼灸では、気の流れを整え、胃の降濁作用を助けるツボを用います。

? 内関(ないかん):
    嘔吐や胸のつかえに。気の流れを下へ導く。
? 豊隆(ほうりゅう):
    胃の湿を除き、気の停滞を解消する。

? 胃をいたわる養生の知恵

 胃は、湿を喜び、燥を嫌います。
 冷たいものや乾いた食事、過度なストレスは胃の働きを乱します。
 温かいスープ、蒸し料理、ゆっくりとした食事時間は、胃の受納・腐熱・和降を助ける養生です。

 鍼灸は、そんな胃の声に耳を澄ませ、静かに寄り添う術。
一針一息の中に、食と命の調和が息づいています。

中醫教科書 第21集 胃功能:接受、腐熱與和諧與下降 第一部分

2026三月 7 -

?「胃は受納・腐熱・和降の作用」──食の入り口に宿る、 命の火

 私たちの身体は、食べることから始まります。
その食べ物を受け入れ、温め、下へと送り出す──そんな静かで力強い働きを担っているのが「胃」です。

 東洋医学では、胃は「水穀の海」と呼ばれ、生命の源である飲食物を処理する中心的な臓腑とされています。
 その働きは、**受納(じゅのう)・腐熱(ふねつ)・和降(わこう)**という三つの作用總結如下。

? 受納──食を受け入れる器

 受納とは、胃が飲食物を受け取り、一時的に保持する働き。
まるで器のように、食べ物を受け止め、次の消化の準備を整えます。
 この働きが弱まると、食欲不振や胃もたれ、食後の違和感が現れます。
 鍼灸では、胃経のツボを刺激することで、受納力を高め、食べ物を自然に受け入れる力を整えます。

? 中?(楚坎):
     胃の中心に位置し、受納力を調える要穴。
? 天枢(てんすう):
     胃腸の働きを全体的に整える万能のツボ。

? 腐熱──命の火で食を煮る

 腐熱とは、胃が飲食物を温め、ドロドロに“煮る”ような働き。
これは物理的な消化の第一段階であり、脾が吸収しやすいように食物を変化させる工程です。
 胃は“火”を好み、潤いを必要とします。
乾燥や冷えが強いと、この腐熱作用が弱まり、消化不良や腹部の張りが起こります。
 鍼灸では、胃の火を支えるために、脾胃を温めるツボを用います。

? 阿希桑里:
    胃腸の気を補い、消化力を高める名穴。
? 梁門(りょうもん):
    胃の熱を調え、腐熱作用を助ける。

中醫教科書 第20集 - 天鬼與腎臟相關的第二部分

20263月5日,

? 鍼灸と天癸──命のリズムに寄り添う術

 鍼灸は、この天癸の流れを整えるための静かな手段是。
とくに腎経・任脈・衝脈といった経絡を通じて、腎精の充実と天癸の調和を図ります。

? 関元(かんげん)・気海(きかい):
      腎精を補い、天癸の源を養う。
? 薩尼因科:
      肝・脾・腎を調え、月経周期を整える。
? 太渓(たいけい)・照海(しょうかい):
      腎陰を補い、女性の潤いと安定を支える。

 これらのツボは、月経不順や不妊、早発閉経など、天癸の乱れによる不調に対して、身体の内なるリズムを整えるように働きかけます。

? 命の季節を慈しむ

 『黄帝内経』には、女性は7の倍数、男性は8の倍数で身体が変化すると記されています。
これは、天癸と腎精の変化が、年齢とともに段階的に現れることを示しています。

? 14歳:天癸至り、月経が始まる
? 28歳:身体が最も充実し、妊娠・出産に適した時期
? 35歳以降:腎精が徐々に衰え、天癸も次第に減少
? 49歳:天癸が尽き、閉経を迎える

 この自然の流れは、衰えではなく“変化”であり、次の季節への移り変わりです。
 鍼灸は、その変化に寄り添い、心身の調和を保つための静かな伴走者となります。

天癸とは、命の暦を刻む静かな泉。

 腎という深い井戸から湧き出し、人生の節目を潤してくれる存在です。

 鍼灸は、その泉の流れを整え、命のリズムにそっと寄り添う術。
一針一息の中に、女性の一生を慈しむ知恵が息づいています。

中醫教科書 第19集 - 與腎臟相關的天鬼 第一部分

2026年2月25日

?「腎と天癸」──命の暦を刻む、静かな泉

 私たちの身体には、目には見えないけれど確かに流れている“時間”があります。
それは暦のように刻まれ、成長、成熟、老いへと導く命のリズム。

 東洋医学では、そのリズムを支える根源的な力を「天癸(てんき)」它叫做。
天癸とは、腎に蔵された「精(せい)」が成熟し、一定の年齢に達したときに自然と現れる、生殖と成長を司る神秘的なエネルギー。
 女性では月経や妊娠、男性では生殖能力の発現に深く関わり、まさに“命の泉”とも言える存在です。

? 腎精と天癸──命の根と枝

 東洋医学では、「腎は精を蔵す」とされ、腎に蓄えられた精(腎精)は、成長・発育・生殖・老化のすべてを支える根本的なエネルギーです。

 この腎精が充実すると、一定の年齢で「天癸」が発動し、女性では14歳(ニ七)、男性では16歳(二八)で性成熟を迎えるとされます。


 天癸は、腎精という“根”から生まれた“枝”のような存在。
その枝がしなやかに伸びることで、月経が整い、妊娠・出産が可能となり、女性の一生を静かに支えていきます。

中醫教科書 第17集 腎臟儲精

2026二月 15 -

?「腎は精を蔵する」──命の根を支える、静かな力

 私たちの身体は、目に見えない「精(せい)」という生命の根源によって支えられています。
この精を蓄え、守り、育てる場所──それが「腎」です。
 東洋医学では、「腎は精を蔵する」據說如此。
ここでいう「精」とは、単なる栄養素ではなく、成長・発育・生殖・老化・免疫など、人生のすべての段階に関わる根本的なエネルギー。
 腎に蓄えられたこの精は、「腎精(じんせい)」と呼ばれ、まさに命の貯蔵庫なのです。

? 腎精のはたらき

 腎精は、私たちの一生を支える静かな力です。

? 成長と発育:子どもの骨や脳の発達、思春期の成熟。
? 生殖機能:妊娠・出産・性機能の維持。
? 老化の速度:白髪、骨の弱り、記憶力の低下など。
? 免疫と回復力:病気への抵抗力、疲労からの回復。

 腎精が充実していれば、心身は若々しく、老化も緩やか。
逆に腎精が不足すると、体力の低下、耳鳴り、腰痛、集中力の低下など、さまざまな不調が現れます。

? 鍼灸で腎精を養う

 鍼灸は、腎精を守り、補うための静かな手段です。
腎経に属する経穴を刺激することで、腎の働きを高め、精の巡りを整えます。

? 腎兪(じんゆ):
    腰のだるさ、精力低下、冷えに。
? 太渓(たいけい):
    腎陰・腎陽のバランスを整え、精を養う。
? 命門(めいもん):
    生命力の中心。腎陽を補い、活力を引き出す。

 これらのツボは、加齢による腎精の衰えを緩やかにし、心身の調和を取り戻すための“命のスイッチ”とも言える存在です。

? 養生の知恵──腎精を守る暮らし

 腎精は、日々の生活の中で少しずつ育まれ、また消耗もします。
 夜更かしや過労、過度な性行為は腎精を削り、逆に十分な睡眠、穏やかな心、滋養のある食事は腎精を養います。
 黒豆、山芋、クルミ、黒ごまなどの「補腎食材」や、温かいスープ、蒸し料理は腎をいたわる食養生として知られています。

 腎は、静かに、深く、命を支える臓。
その中に蓄えられた精は、人生の根を育てる力です。
 鍼灸は、その根にそっと触れ、命の流れを整える術。
一針一息の中に、老いと向き合い、命を慈しむ知恵が息づいています。

「針灸師的未來預測」~醫療合作與科技與AI接觸~

2026年1月26日

1月25日、愛知県鍼灸師会主催 第83回学術講習会に参加させていただきました。
講 師 は 伊藤 和真先生
演 題 : 「針灸師的未來預測」~醫療合作與科技與AI接觸~

内容は
 1980年代、肩にかけるような大きな携帯電話から物語は始まりました。
やがてパソコンが家に入り、
スマートフォンが世界をポケットに押し縮め、
そして今、AIが静かに私たちの思考のそばに座るようになった。
 技術の進化は、まるで長い旅路のように、私たちの暮らしを少しずつ変えて便利な社会となり、生活に欠かせないものとなってきました。
 しかしながら、いくら最新型の優秀なAIでもかなわないものがあります。
 それは、心に触れる、肌に触れる、私の職域では鍼に触れることです。

? 心に触れるということ

 誰かの言葉がふっと胸の奥に届く瞬間があります。
それは大げさな励ましでも、派手なドラマでもなくて、
ただ「あなたのことを見ていますよ」という静かなまなざしのようなもの。
 心に触れるとは、
相手の痛みや迷いを奪うことではなく、
その隣にそっと座るような行為なのだと思います。
触れた指先が温かいほど、心はゆっくりほどけていく。

? 肌に触れるということ

 肌は、身体のいちばん外側にある“心の窓”のような存在。
優しい手が触れたとき、
その温度は皮膚を通って、
まるで波紋のように内側へ広がっていきます。
 触れられることで、
「大丈夫だよ」と言われているような安心感が生まれる。
皮膚は、言葉よりも早く、
その人の状態を受け取り、そして返してくれる場所。

? 鍼に触れるということ

 鍼が皮膚に触れる瞬間は、
とても静かで、
まるで呼吸の合間にそっと置かれる一滴の雫のよう。
痛みを与えるためではなく、
身体が忘れてしまったリズムを思い出させるために触れる。
 鍼は、身体の奥に眠る声を聴き、
必要なところにだけ、そっと手を差し伸べる。
鍼に触れるという行為は、
身体と心のあいだにある薄い膜を、
やさしく揺らして整えていくようなもの。
そこには技術だけでは届かない、
施術者の“祈り”のような気持ちが宿る。

? 触れるという行為のすべては、つながること

 心に触れ、皮膚に触れ、鍼に触れる。
どれも違うようでいて、
実はすべて「その人とつながる」ための方法。
 触れるという行為は、
相手を変えるためではなく、
相手の中にある力をそっと思い出させるためのもの。
その瞬間、
人はひとりではなくなる。
そして、身体も心も、
ゆっくりと自分の場所へ帰っていく。