Holistic Medicine
身体の常識 第41話 六腑とは
五臓」のおさらいをすると、「五臓」とは肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)のことをいいました。対して、今回紹介する「六腑」は胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃・大腸・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)から成ります。
三焦とは、気と水の通り道だと考えられています。
人が生きるために必要な気血水を生成し、貯蔵する役割のある「五臓」に対し、「六腑」は、食べものをどろどろに消化し受け入れ、運び、残ったかすを排泄します。
六腑は、食べたものを貯める場所ではなく、食べものが通り抜ける道であり、途中でつまることはありません。
五臓は、気血精を満たしているのに対し、六腑は気血を満たすことはありません。
精とは人が生きていくために必要な基本となるもので成長・発育をうながします。
食べたものは、胃、小腸、膀胱、大腸の順番に送られます。
肝でつくられた胆汁は、胆で貯蔵されます。
また、「五臓と六腑」は単独ではなくお互いに助け合いながら機能しています。
例えば、胆の機能が正常であれば、肝の機能である精神も安定すると考えます。
また「五臓と六腑」は「陰陽(いんよう)」「表裏(ひょうり)」関係にあります。
表裏とは、「五臓と六腑」はつながりがあり、一方の臓腑が弱くなると対になる「六腑」の機能も弱くなるという考えです。
例えば、肺と大腸で考えると、肺の機能が弱くなると、カラダの中の空気の循環が悪くなり乾燥するため、大腸に影響し、便秘になりやすくなるといった具合です。

身体の常識 第40話 五臓とは 腎について
腎について腎は人の成長や発育に関わりのある臓腑です。腎が不調になると、老化現象が起こりやすくなります。
・ 蔵精をつかさどる
人が生きていくには「精」が必要です。精とは細胞・ホルモンなど人の生命活動に
関わるものを指します。精には「先天の精」「後天の精」があります。
先天の精は、両親から受け継ぐもので、後天の精は毎日の食事などから作り出されま
す。
・ 水をつかさどる
腎は水分の代謝をコントロールしており、尿を作り出したり、
排出させたりすることで体の中の水分を調節しています。
・ 納気をつかさどる
腎は呼吸と関わりがあり、体の中にある病気の原因となる空気を排出することに
よって、腎の働きをコントロールしています。
・ 華は髪にあらわれる
腎の状態は、髪にあらわれます。腎が不足すると、抜け毛や白髪が出たり、
髪の毛のツヤがなくなります。
・ 耳に開きょうする
耳との関係が深く、腎が衰えると、耳なり、聞こえにくくなるなどの症状が
現れます
・ 液体は唾(つば)
腎の状態は、唾にあらわれます。腎の状態が正常であると、唾は口の中を潤し、
食べ物を消化しやすくします。
・ 情志(感情)は恐・驚
恐れや驚きは、腎に影響を与えます。腎が衰えると耳が聞こえなくなったり、
尿や便をもらしたりすることもあります。
「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」の役割を知ることによって、自分の体に起きた不調は何が原因かを知ることができます。まずは、現在の状態について確認してみてはいかがでしょうか?
例えば目がかすんだり、耳が遠くなってきたら肝腎の不調が原因かもしれません。簡単なところから確認してみましょう。

身体の常識 第39話 五臓とは 肺について
肺について肺は、全身の気と呼吸をコントロールし、体に潤いを与えます。
・ 気と呼吸をつかさどる
肺は、気を作り出し、全身に気を送ります。肺は、呼吸することにより、
体内の病気の原因となる気を排出し、自然界の清らかな空気を吸入します。
・ 宣発と粛降をつかさどる
宣発とは、肺の気を上に上げたり、体の外に向けることで、気をめぐらせたり、
発散させたりすることを意味しています。粛降は、肺の気を上から下へ下げたり、
体の中にむけることにより、浄化したり、気をおぎなうことを意味しています。
・ 水道を通調する
肺は、水をめぐらせたり・分散させたりする働きがあります。
体の臓腑に栄養と潤いを与えます。
・ 華は皮毛にあらわれる
肺は、皮膚や皮毛と関係が深く、外からの邪気から体の表面を守る働きがあります。
肺の働きが悪くなると花粉症や皮膚の乾燥などが起こります。
・ 鼻に開きょうする
鼻と関係が深く肺が不調になると鼻水・鼻づまりなどがおこります。
嗅覚や声に対する病気は肺につながっていると考えます。
・ 液体は鼻水
鼻の中を潤す作用があります。
・ 情志(感情)は悲・憂
肺は悲しい・憂うなどの感情を生み気を消耗しやすくなります。

身体の常識 第38話 五臓とは 脾について
脾について脾は、食事を消化吸収し、気血水を作り出す臓腑です。
四肢や筋肉などにも影響を与えます。
・ 運化をつかさどる
運は運ぶことで、化は消化吸収のことを意味しています。
口から摂取した食べ物を栄養分として吸収し、気血水を作り出します。
・ 統血をつかさどる
脾は血を作り出すだけでなく、血尿・血便・不正出血など、
血が血管の外に漏れ出すことを防ぎます。
・ 四肢と筋肉をつかさどる
人の手足と筋肉は、脾の栄養状態が大きく影響を与えます。
脾が正常に働くと、手足や筋肉は丈夫でスムーズに動きます。
・ 華は唇にあらわれる
脾の状態は唇にあらわれます。脾の状態が良くなると、
唇の色がよくなりツヤが出ます。
・ 液体は涎(よだれ)
脾の状態が正常であると、口の中の唾液が食事や消化を助けてくれます。
逆に悪くなると、よだれが出ます。
・ 口に開きょうする
脾の状態は口に現れ、脾が悪いと味覚などに影響が出ます。
・ 情志(感情)は思・憂
脾の状態が悪くなると、思い込み過ぎたり、食欲が無くなったりします。

身体の新常識 第35話 「ありがとう」で免疫アップ
がん患者で、自然療法で自己治癒をした人たちを見ていて、共通しているなと感じることの一つに、「ありがとう」と感謝する生き方があります。彼らはみんな、朝起きたらまず生きていることに感謝します。
家族と今日も会えたと感謝します。
そしてご飯を食べれることに感謝します。
上ってくる太陽を見て「今日も朝日を拝むことができた、ありがとう」と手を合わせるのだそうです。
何事にも感謝をする生き方をしていたら、頑張ったり、偉そうにする気にならなくなり、逆に謙虚で何にでも「ありがとう」という気持ちが湧いてくるのです。
「ありがとう」という感情は、怯えや悲しさや悔しさと対極です。
心が満ち足りていて迷いがありません。
交感神経優位の緊張した生き方から、副交感神経の穏やかな生き方に変わっています。
癌になったときに「なぜこの私が癌に…」と怒り、悲しんでいたのが、癌になった原因に気づき、「自分の生き方の偏りを癌が教えてくれたんだ。ありがとう」と思えるようになると、身体は回復に向かっています。
日本には古来から「言霊」という言葉があります。
口に出して言うことで、それが自分に返ってくるという考え方です。
感謝や祈りの言葉を口にすると、それを脳で聞いて自分に良いことが起こります。
日々、「ありがとう」と言っていると、自律神経も落ち着きます。
心の安寧を得られるようになり、癌が自然退縮する身体へと変わっていくのでしょう。

身体の常識 第30話 五行とは
五行学説とは、地球にあるあらゆるものは、「木」「火」「土」「金」「水」(もくかどきんすい)の5つの要素から成り立っていると考える思想のことをいいます。東洋医学は五行学説の考えをもとに、カラダの状態や治療、養生法をとりいれています。
五行学説の元になる五行おのおのの関係性とは
五行では、「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素が、お互い助け合ったり、抑制したりすることによってバランスを保っています。
「木」「火」「土」「金」「水」には、それぞれに特徴があり、人間の体にある五臓に当てはめることもできます。
五臓では、肝は木、心は火、脾は土、肺は金、腎は水とつながっています。
「木」
木は、草木のように上や外に向かってぐんぐん伸びる様子を意味しています。木の特性には、生長・発散・上昇などがあります。
「火」
火は、炎のように火が燃え盛る様子を意味しています。火の特性には、炎上・上昇などがあります。
"Soil"
土は、植物を生み出し、動物が生活するための土台となります。土の特性は、生成・発育などがあります。
「金」
金は、澄んだ光沢感を持ち、清涼感のある金属を意味しています。金の特性は、清涼感・清潔などがあります。
「水」
水は、すべての物を潤し、上から下へ流れていく様子を意味しています。水の特性は、下降・寒冷などがあります。
五行の法則には「相生」(そうせい)「相克」(そうこく)「相乗」(そうじょう)「相侮」(そうぶ)という考えがあります。
五行は、お互いに助け合ったり抑制したりすることによってバランスを保っています。
相生(そうせい)
相生は赤矢印の部分で、次の物事を促進し、助け、補う働きのことをいいます。例えば、木が燃えると火を生じ、火は燃えると灰が残り土を生じるといった意味をあらわしています。
相克(そうこく)
相克は図の中央にある黒の矢印の部分で、物事の成長や機能に対して抑制する働きのことをいいます。例えば、木は土の養分を吸い取り、火は金属を溶かすといった意味をあらわしています。
相乗(そうじょう)
相乗は強いものが弱いものを抑える働きのことをいいます。相手に対して抑制したり、制約したりするのが過剰になることです。例えば、木の働きが過剰になると、土の養分も過剰になります。
相侮(そうぶ)
相侮は弱いものが強くなり、強いものを抑制する働きのことをいいます。相克の関係とは反対になる関係のことです。例えば、土は木の栄養分を吸収し、木が成長しすぎないようにします。
五行色体表では、私たちの取り巻く世界を五行に分けて判断することができます。「木」「火」「土」「金」「水」と人間の五臓が関連付けられたものが五行色体表です。
例えば、春・夏・長夏・秋・冬の5つの季節を中心に考えると、五臓は肝・心・脾・肺・腎と分かれています。
五行色体表を見ると、春は五臓の肝に影響を与えやすいといったことが理解できます。
特に五臓は、五色・五官・五声などと関連づけられているため、顔の色艶・声の大きさ・動作などによりその人の体質や症状を見極めることができます。
中医学では、この五行の考えを
もとに診断したり治療をしたりします。
五行色体表は、その季節に起こりやすい症状や養生法などを説明することができます。
例えば、春は五臓の「肝」に負担がかかりやすく、五気によると「風」の影響を受けやすい季節でもあります。
肝に負担がかかりすぎたときは、ストレスに効果のあるレモンやみかんなど五味の「酸味」の食材が向いています。五官によると肝の症状は目にあらわれます。
目が疲れたり、視力が落ちたりすることもあります。情志(感情)の観点からだと、精神的に怒りっぽくなるのも春の特徴です。

伊勢参り
19日(土)伊勢の正式参り法で、二見興玉神社・豊受大神宮(外宮)・皇大神宮(内宮)を参り、最後に月読宮を参ってきました。「お伊勢さん」「大神宮さん」と親しく呼ばれる伊勢神宮は、正式には「神宮」といいます。
神宮には、皇室の御祖先の神と仰ぎ、私たち国民の大御祖神として崇敬を集める天照大御神をお祀りする皇大神宮(内宮)と、衣食住を始め産業の守り神である豊受大御神をお祀りする豊受大神宮(外宮)を始め、14所の別宮、43所の摂社、24所の末社、42所の所管社があります。これら125の宮社全てをふくめて神宮といいます。
まだ日本という国がなかった頃、国生みの神イザナギとイザナミによって多くの神々が誕生しました。
彼らにはそれぞれ役割や力が与えられ、日本国を統一していきます。
八百万の神々で最高位に位置しているのがアマテラスで、イザナギの左目から生まれた。その後、天上世界を治める太陽を司る女神となり、現在は、伊勢神宮の内宮を代表として全国に祀られている。また、アマテラスは天皇の祖神であり、日本で最も重要な神様のひとつとして、あらゆる願いを聞き届けるとし、所願成就の神様として知られる。

身体の新常識 第28話 かかりつけ医を持たなければいけない
かかりつけ医を持つ人が増えてきました。かかりつけ医とは、病気になった時や健康に不安があるときに、すぐに相談できる一番身近なお医者さんのことです。一般的な治療を行う地域のクリニックや診療所、一般病院を言います。国や日本医師会では、かかりつけ医を次のように定義しています。
「健康に関することを何でも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」
つまり、単に病気の診療をするだけでなく、地域の保健や福祉を担う総合的な能力を有することが求められているのです。
特に高齢者が患者の場合は、医療と介護の連携が不可欠なため、地域に根差したかかりつけ医の存在はとても重要視されています。
1.病気や健康問題を気軽に相談できる
かかりつけ医は病気や症状に関する全般的な知識を備える努力をしていますので、専門分野にかかわらずさまざまな健康問題について相談できます。
例えば、将来の胃ろうの心配や延命処置のことなど、高齢者が不安に思っていることも相談に応じてくれます。
2.的確な診断を受けられる
患者の心身の状態、病歴、生活習慣などを踏まえた診療を継続的に行いますので、異変があれば素早い対応が期待できます。
大きな病院では予約が必要な検査も、場合によっては、すぐにしてもらえることがあります。
また、離れて暮らす家族が見逃しがちな認知症の初期症状にも気付いてくれる可能性が高いのです。
3.高度な医療機関との連携がスムーズに行える
専門的な治療が必要と判断されるときは、紹介状とともに適切な医療機関につなげてくれます。
患者や家族が病院を探すよりも、効率よく適切な医療機関につながりやすいでしょう。
また、専門医からの診断結果や治療内容もかかりつけ医にフィードバックされます。
4.「主治医の意見書」や指示書を書いてくれる
要介護認定を申請する際に必要な「主治医意見書」を書いてくれます。
かかりつけ医がいないと、市区長村が指定する医師の診察を受けなければなりません。その場合は1回だけの診察で正確な意見書を書いてくれるかどうかの不安が残ります。
また、介護が始まってからも、必要に応じて意見書や指示書を作成してくれます。
5.ケアマネジャーと連携してくれる
かかりつけ医は、ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携します。そして、医療の情報をケアプランに、介護の情報を意見書作成や治療方針にそれぞれ反映してくれます。
なお、ケアマネジャーは利用者及びかかりつけ医の同意のもとで主治医意見書を市区町村に開示を求めることができます。
6.在宅の看取りにつなげてくれる
かかりつけ医自身が在宅医療を行っている場合は、そのまま看取りまで担当してくれるでしょう。
看取りまでかかわらない医師の場合も、いずれ訪れる終末期の相談に応じて、ケアマネジャーや在宅療養サービスの人たちと検討し、訪問医を中心とした看取りチームにつないでくれると思います。
7.死亡診断書を書いてくれる
自宅で死亡したときは、不審な点がなければかかりつけ医が死亡診断書を書いてくれます。書いてくれる医師がいないと、警察が呼ばれて検死を受けることになります。

年始の挨拶
Ikeda acupuncture今年も残すところ僅かになりました。
本年も格別のご愛願を賜り厚くお礼を申し上げます。
来年も、皆様にご満足頂ける治療を心がける所存でございます。
より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
来年度は、1月6日(月)より、診療いたします。

身体の新常識 第22話 卵は一日10個以上食べてもコレステロール値に変化なし
卵はコレステロールが多いため、控えている方も少なくないようです。しかし、最近の研究では、卵を毎日食べてもコレステロール値にそれほど影響しないことが分かってきました。コレステロールの多くは体内で合成
卵はコレステロール含有量が高く、中サイズ1個(中身55gの場合)で204mg含まれます。
日本人が食事から摂取するコレステロールはおよそ300mg程度で、卵が占める割合が最も多くなっています。
かつての厚生労働省の「日本人食事摂取基準2010年版」では、食事からのコレステロールの目標量は、1日あたり男性750mg未満、女性600mg未満とされており、卵を取り過ぎないよう注意が呼びかけられてきました。
しかし、世界中の疫学調査を評価すると、卵の摂取量と動脈硬化性疾患とは関係ないことが分かってきました。
日本人のデーターを見ても、1日に卵を2 個以上食べた人と、ほとんど食べない人との間に死亡率の差は見られませんでした。
コレステロールは体内でも合成され、その量に比べると食事から取るコレステロールは1/3 ~1/7に過ぎません。
また、食事から取る量が増えると体内の合成量は減り、足りなければ合成量が増えるように私たちの体の中で調整されます。
このような知見から、5年ごとに見直しが行われる「日本人の食事摂取基準2015年版」からは、食事からのコレステロールの目標量は定められなくなりました。
米国でも、コレステロールの基準がなくなりました。
この頃から「卵は控えなくてもよい」という話を、聞くようになりました。
バランスよく健康な食生活を
確かに、食事からのコレステロールが、血中コレステロール値に直接の影響を与えないのであれば、卵をたくさん食べても大丈夫そうです。
しかし個人差もあって、食事中のコレステロールの量に影響を受ける人もいて、誰もが量を気にしなくてもよいというわけではありません。また、脂質異常症のある人(LDLコレステロール値が高い人など)は、卵だけでなく、コレステロールが多く含まれる食品全般を食べ過ぎないようにしましょう。
一方、卵を毎日1個食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、脳卒中や心血管疾患のリスクが低下するという研究も発表されています。
また、日本人の研究では、卵を1日1個以上食べても糖尿病発症リスクは上昇しないことも示されています。
高齢者では、コレステロールを制限しようと卵を控えたりすると、タンパク質不足となり、低栄養になる可能性もあります。むやみに卵を控える必要はなさそうです。

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