2026年4月
中医学の教科書 第29話 脳
?脳は髄の海東洋医学では、脳は 「髄の海」 と呼ばれます。
脳は髄が集まってできた“海”のような場所で、
思考・記憶・感情・判断力など、心の働きの中心です。
?髄は腎精からつくられる
髄は、骨の中にある“生命のエッセンス”。
そして髄を生み出す源が 腎精(じんせい)。
? 腎精が満ちている → 髄が豊か → 脳が冴える
? 腎精が不足する → 髄が減る → 脳が疲れやすい
つまり、
脳の働きは腎の元気しだい
というのが東洋医学の考え方。
?脳は五官の働きを統合する
五官(目・舌・口・鼻・耳)は、五臓の状態を映す“窓”。
しかし同時に、五官から入ってくる情報をまとめ、
感じ取り、判断するのは 脳(髄の海)。
? 目で見たもの
? 耳で聞いた音
? 鼻で感じた匂い
? 舌で味わった味
? 皮膚で触れた感覚
これらはすべて脳に集まり、
脳が「どう感じるか」「どう反応するか」を決めている。
?脳は四肢の運動・感覚も支配する
脳は、五官だけでなく 四肢の動きや感覚も統合しています。
? 手足を動かす
? 力を入れる
? 触れたものを感じる
? バランスをとる
これらの働きも、髄の海が満ちていることでスムーズに行われる。
腎精が不足して髄が減ると、
? 足腰が弱る
? ふらつく
? 手足がだるい
? 感覚が鈍い
といった症状が出やすくなる。
?まとめ
? 脳は“髄の海”で、髄は腎精からつくられる。
? 腎が元気だと、脳も五官も四肢もスムーズに働く。
? 腎が弱ると、集中力・感覚・運動のすべてが落ちやすい。
身体はバラバラではなく、
腎 → 髄 → 脳 → 五官・四肢
という大きなつながりで動いています。
鍼灸は、この流れを整えることで、
“なんとなく頭が重い”“集中できない”“手足がだるい”
といった不調にもやさしく寄り添うことができます。

歌川国芳の浮世絵
愛知県美術館に於いて、歌川国芳の浮世絵をじっくり鑑賞する機会があった。いやもう…想像以上に心を持っていかれた。
国芳の魅力って、一言でいえば
「圧倒的な発想力 × 大胆な構図 × 江戸っ子のユーモア」
なんだけど、実際に作品を目の前にすると、その言葉が急に立体化して迫ってくる。
巨大な骸骨が画面から飛び出してくるような迫力。
水滸伝のヒーローたちが、今にも動き出しそうなエネルギー。
そして、ふと気を抜いた瞬間に現れる、猫たちのゆるい表情。
「この人、どれだけ引き出しあるんだ…」
と、思わず笑ってしまうほどの多才ぶり。
奇想、武者絵、戯画、風刺、猫。
どのジャンルでも“国芳節”がしっかり効いていて、
まるで一人の中に何人もの絵師が住んでいるような感覚になる。
しかも、ただ器用なだけじゃない。
画面の奥にある“江戸の空気”や“庶民の息づかい”まで伝わってくる。
ユーモアで時代を切り抜け、遊び心で人を笑わせ、
大胆な構図で見る者を圧倒する。
気づけば、完全に惚れ込んでいた。
国芳の絵は、ただの鑑賞じゃなくて、
**「世界観に巻き込まれる体験」**なんだと実感した。

中医学の教科書 第28話 三焦
? 三焦とは、からだをめぐる“気と水の道”? 鍼灸が整える、内なる流れと調和 ?
「三焦って、どこにあるんですか?」
この問いに、東洋医学はこう答えます。
「三焦は“名はあれど形なし”。けれど、全身をめぐる“気・水・血”の通り道として、確かに存在している」と。
三焦は、六腑のひとつに数えられながらも、他の臓腑と直接つながらない“孤の腑”。その役割は、上焦・中焦・下焦という三つの領域に分かれ、全身の気血水の流れを調和させることにあります。
? 上焦(じょうしょう)? 天の気をめぐらす
? 部位:横隔膜より上(肺・心など)
? 働き:呼吸によって取り入れた清気を全身に散布。まるで霧が立ちのぼるように、気と津液を体表へと運びます。
? 鍼灸的アプローチ:風邪、咳、喉の不調、免疫力の調整などに対し、外関・天突・尺沢などを用います。
? 中焦(ちゅうしょう)? 地の気を煉る
? 部位:横隔膜~臍(脾・胃など)
? 働き:飲食物を受け入れ、消化・吸収し、気血を生み出す“気の工場”。
? 鍼灸的アプローチ:胃もたれ、食欲不振、疲労感などに対し、中?・足三里・脾兪などを活用します。
? 下焦(げしょう)? 水を治め、精を蔵す
? 部位:臍より下(腎・膀胱・腸・子宮など)
? 働き:水分代謝・排泄・生殖を司る。老廃物を排出し、生命の根を支えます。
? 鍼灸的アプローチ:冷え、むくみ、頻尿、生殖機能の調整に対し、関元・腎兪・三陰交などが有効です。
? 三焦経と鍼灸
三焦には「手の少陽三焦経」という経絡があり、薬指から腕・肩・耳・側頭部へと流れるルートを持ちます。
この経絡は、耳鳴り・めまい・ストレス・自律神経の乱れなどに関与し、外関・支溝・翳風などの経穴がよく使われます。
? 三焦を整えるとは、「全体の調和」を整えること
三焦は、臓腑のように“モノ”として存在するのではなく、気・水・熱の流れをつなぐ“機能”として存在する腑です。
だからこそ、三焦の不調は「どこか一部」ではなく、「全体の巡りの乱れ」として現れます。
鍼灸は、この“見えない流れ”に働きかける術。
三焦を整えることは、からだ全体の調和を取り戻すことにほかなりません。

中医学の教科書第27話 胆は奇恒の腑
?「胆は奇恒の腑」? 決断と清浄の器官? 鍼灸が支える、意志と消化のバランス ?
日々の暮らしの中で、私たちは大小さまざまな「決断」を繰り返しています。
朝の目覚めから、仕事の選択、人間関係の対応まで。
その一つひとつに、心とからだの連携が必要です。
東洋医学では、この「決断」をつかさどる臓腑として「胆(たん)」が位置づけられています。
胆は六腑の一つでありながら、**奇恒の腑(きこうのふ)**にも分類される、極めて特殊な存在です。
? 奇恒の腑とは
奇恒の腑とは、脳・髄・骨・脈・子宮・胆の六つを指し、形は腑に似て中空でありながら、機能は臓に近いという特徴を持ちます。
胆はその中でも唯一、六腑と奇恒の腑の両方に属する二重性を持つ器官です。
? 胆の働き:消化と精神の橋渡し
胆は肝と表裏関係にあり、胆汁を分泌して消化を助ける一方で、『霊蘭秘典論』には「胆者、中正之官、決断出焉」と記され、精神活動にも深く関与するとされます。
? 胆汁の蔵蓄(奇恒の腑としての性質)
? 清浄な胆汁を蓄え、必要時に排出
? 飲食物の直接的な伝化には関与しない
? 精気を蓄えるという臓に近い性質を持つ
? 決断の力(精神的機能)
? 是非善悪を見極める「胆識」
? 困難に立ち向かう「勇気」
? 優柔不断や不安は「胆気虚」として現れる
? 鍼灸で整える「胆の気」
鍼灸では、足少陽胆経を中心に、胆の機能を整える施術が行われます。
特に以下のような症状に対して有効です。
? 胆気虚:優柔不断・不安・夢が多い・不眠
? 胆熱:口の苦み・苛立ち・胸脇の張り
? 消化不良:胃腸の停滞・食欲不振
使用される経穴には、陽陵泉・胆兪・懸鐘・丘墟などがあり、肝との連携を意識した施術が重要です。
? 胆の養生は「決断の養生」
胆の働きが整えば、消化もスムーズになり、精神も安定します。日々の選択に迷いが生じたとき、からだの声に耳を傾けることは、内なる胆識を育てる第一歩。
鍼灸はその静かな後押しとなり、心身のバランスを取り戻す力を与えてくれます。

2026年第14回ジョギングフェスティバル
スペシャルオリンピックス愛知(SO愛知)主催のジョギング大会が、4月18日に開催されました。当日は、スポーツコンディショニングの一環として、鍼灸施術ブースに参加協力し、30名を超える多くのアスリート・ご家族・ボランティアの皆さまにご来場いただきました。
鍼灸体験では、競技前後のコンディショニングや筋緊張の緩和を目的に施術を行い、
「走りやすくなった」「身体が軽くなった」などの声も多く、盛況のうちに終了しました。

今回の取り組みは、鍼灸の有用性を知っていただく良い機会となり、地域での普及にもつながりました。
中医学の教科書 第26話 膀胱は畜尿・排尿
?膀胱の静かな営み? 畜尿と排尿に宿る、気化と水の知恵 ?
東洋医学では、膀胱は「畜尿(ちくにょう)・排尿(はいにょう)」という二つの働きを担い、**水分代謝の最終段階を司る“水の門”**として位置づけられています。
? 畜尿 ? 水を蓄える器
膀胱は、腎や三焦から送られてきた不要な水分(津液)を一時的に蓄える器官です。
これは単なる貯蔵ではなく、水の流れを一時止め、次の動きに備える“間”の力でもあります。
鍼灸では、腎気の充実が膀胱の畜尿力を支えるとされ、腎経・膀胱経の調整が重要な施術ポイントとなります。
? 排尿 ? 気化による放出
排尿は、腎の「気化作用」によって膀胱に蓄えられた水分が体外へと導かれるプロセスです。
ここでの「気化」とは、腎陽の温煦・推動によって水が動き、出口が開かれること。
つまり、排尿は単なる反射ではなく、**気の力によって導かれる“意志ある流れ”**なのです。
? 鍼灸で整える「水の門」
鍼灸では、**中極(ちゅうきょく)・関元(かんげん)・膀胱兪(ぼうこうゆ)・腎兪(じんゆ)**などの経穴を用いて、膀胱の畜尿・排尿機能を整えます。
これらのツボは、頻尿・残尿感・尿閉・夜尿症などの症状に対して効果的であり、腎との表裏関係を意識した施術が求められます。
また、膀胱は「州都之官」とも呼ばれ、津液を集めて気化によって排出する役割を担います。
この働きが乱れると、むくみや冷え、尿トラブルなどが現れやすくなります。
? 自然とともに、流れを整える
膀胱の働きは、まるで川の終着点のように、流れを受け止め、選び、放つ力に満ちています。
冬に向けて水を蓄え、春に向けて流れを整える。
そんな自然のリズムとともに、私たちのからだもまた、膀胱の静かな営みによって調和を保っているのです。
鍼灸は、その流れを整える“水の調律師”として、心身の軽やかさを取り戻す手助けとなるでしょう。

4月・5月 診療のお知らせ
4月・5月 診療のお知らせ春は「木の芽時」(このめどき)」。
草木が芽吹く頃は気温の変化も大きく、疲労が蓄積し、
ホルモン・免疫・自律神経系にも影響が出やすい季節です。
鍼灸治療で腰痛や膝痛、心身症など様々な症状に対して、
改善をしてきており、また部分的な治療だけでなく、
トータルでケアができる池田鍼灸治療院でお待ちしています。
4月29 日(水)昭和の日 休診
5月 3 日(日)憲法記念日 休診
4 日(月)みどりの日 平常通り診療
5 日(火)子供の日 平常通り診療
6 日(水)振替休日 平常通り診療

― 「同意書」と「施術報告書」をやさしく解説 ―
最近、健康保険での「病院に通いながら鍼灸を受けてもいいんですか?」という質問をよくいただきます。
答えはもちろん “大丈夫です”。
むしろ、うまく組み合わせることで体がラクになる方も多いんです。
ただ、そのときに登場するのが
? 医師の「同意書」
? 医師への「施術報告書」
という2つの書類。
名前だけ聞くとちょっと堅苦しいですが、実はどちらも患者さんの安心のためのものなんです。
? 「同意書」ってなに?
ざっくり言うと、
たとえば、
? お薬を飲んでいる
? 持病がある
? 手術後のケアをしている
など、体の状態によっては注意が必要な場合があります。
そこで、医師が状態を確認して「OK」を出してくれると、鍼灸師も安心して施術できます。
患者さんにとっても、
「お医者さんも知ってくれてるんだ」
という安心感につながります。
?? 「施術報告書」って必要なの?
鍼灸を受けたあと、鍼灸師が医師に
? どんな施術をしたか
? どんな変化があったか
? 今後どうしていくか
などをお知らせするためのものです。
これは、患者さんの体を“みんなで見守る”ための連絡帳
のようなイメージ。
病院では数値や画像で体をチェックしますが、
鍼灸では「巡り」や「体質」など、別の角度から体を見ています。
その情報を共有することで、
より安全に、より安心して治療を続けられるようになります。
? 鍼灸と病院、どっちがいいの?
どちらが良い・悪いではなく、
役割がちがうからこそ、組み合わせると強い
というのが本音です。
? 西洋医学:原因を見つけて治療するのが得意
? 東洋医学:体全体のバランスを整えるのが得意
この2つが手を取り合うと、
患者さんの体はよりスムーズに回復していきます。
? まとめ
「同意書」も「施術報告書」も、
難しい書類ではなく、
**あなたの体を守るための“安心セット”**です。
病院と鍼灸がうまく連携できると、
治療の幅が広がり、体も心もラクになっていきます。
これからも、
あなたの健康を支える“チーム医療”の一員として、
やさしく寄り添える鍼灸でありたいと思っています。









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