「鍼灸師の未来予想図」~医療連携・AIと触れる技術~

2026年1月26日

1月25日、愛知県鍼灸師会主催 第83回学術講習会に参加させていただきました。
講 師 は 伊藤 和真先生
演 題 : 「鍼灸師の未来予想図」~医療連携・AIと触れる技術~

内容は
 1980年代、肩にかけるような大きな携帯電話から物語は始まりました。
やがてパソコンが家に入り、
スマートフォンが世界をポケットに押し縮め、
そして今、AIが静かに私たちの思考のそばに座るようになった。
 技術の進化は、まるで長い旅路のように、私たちの暮らしを少しずつ変えて便利な社会となり、生活に欠かせないものとなってきました。
 しかしながら、いくら最新型の優秀なAIでもかなわないものがあります。
 それは、心に触れる、肌に触れる、私の職域では鍼に触れることです。

? 心に触れるということ

 誰かの言葉がふっと胸の奥に届く瞬間があります。
それは大げさな励ましでも、派手なドラマでもなくて、
ただ「あなたのことを見ていますよ」という静かなまなざしのようなもの。
 心に触れるとは、
相手の痛みや迷いを奪うことではなく、
その隣にそっと座るような行為なのだと思います。
触れた指先が温かいほど、心はゆっくりほどけていく。

? 肌に触れるということ

 肌は、身体のいちばん外側にある“心の窓”のような存在。
優しい手が触れたとき、
その温度は皮膚を通って、
まるで波紋のように内側へ広がっていきます。
 触れられることで、
「大丈夫だよ」と言われているような安心感が生まれる。
皮膚は、言葉よりも早く、
その人の状態を受け取り、そして返してくれる場所。

? 鍼に触れるということ

 鍼が皮膚に触れる瞬間は、
とても静かで、
まるで呼吸の合間にそっと置かれる一滴の雫のよう。
痛みを与えるためではなく、
身体が忘れてしまったリズムを思い出させるために触れる。
 鍼は、身体の奥に眠る声を聴き、
必要なところにだけ、そっと手を差し伸べる。
鍼に触れるという行為は、
身体と心のあいだにある薄い膜を、
やさしく揺らして整えていくようなもの。
そこには技術だけでは届かない、
施術者の“祈り”のような気持ちが宿る。

? 触れるという行為のすべては、つながること

 心に触れ、皮膚に触れ、鍼に触れる。
どれも違うようでいて、
実はすべて「その人とつながる」ための方法。
 触れるという行為は、
相手を変えるためではなく、
相手の中にある力をそっと思い出させるためのもの。
その瞬間、
人はひとりではなくなる。
そして、身体も心も、
ゆっくりと自分の場所へ帰っていく。

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