中医学の教科書 第15話 肺は通調水道をつかさどる

2026年1月21日

?「肺は通調水道をつかさどる」──水の巡りを調える、静かな司令塔

 私たちの身体は、目に見えない水の流れによって潤され、守られています。
その水の巡りを調える静かな司令塔こそが、肺です。
 東洋医学では、肺は単なる呼吸器官ではなく、「通調水道(つうちょうすいどう)」──すなわち、体内の水分代謝を調整する役割を担うとされています。

?水道とは何か

「水道」とは、体内の水液(津液)が流れる道筋のこと
飲食物から得た水分は、脾によって吸収され、肺によって全身に分配されます。
 肺はその最上流に位置し、「水の上源(じょうげん)」とも呼ばれます。

??肺の働き:宣発と粛降

 肺は、宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)という二つの働きを通じて、水液の流れを調整します。

? 宣発:水分を皮膚や体表に巡らせ、汗として排出。
 体温調節や老廃物の排泄を助けます。
? 粛降:余分な水分を腎や膀胱へと送り、尿として排泄。
 水分の下流処理を支えます。

 この上下の流れが滞ると、むくみ、咳、排尿困難などの不調が現れることもあります。

??♀?呼吸と水の調和

 呼吸は、空気だけでなく、水の巡りも調える行為。
深く静かな呼吸は、肺の宣発・粛降を助け、体内の水分バランスを整えてくれます。
 秋冬の乾燥する季節には、肺の潤いを守ることが養生の要。
白い食材(れんこん、百合根、梨など)や、加湿、ゆったりとした呼吸法が、肺の通調水道作用を支えてくれます。
 水は形を持たず、音もなく流れます。
その流れを見守り、調える肺の働きは、まるで静かに庭を潤す井戸のよう。
日々の暮らしの中で、肺の声に耳を澄ませてみませんか。
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