中医学の教科書第12話 脾は統血作用

2026年1月7日

?「脾は統血をつかさどる」──血を守る、静かな防人(さきもり)

 血は、身体を潤し、栄養を運び、精神を安定させる命の流れ。
その血が、必要な場所にとどまり、漏れ出さないように保つ──それが「統血(とうけつ)」という働きです。
 東洋医学では、脾は「血を統べる臓」とされ、血液を血管内にしっかりと留めておく力を担っています。
この力が弱まると、血が脈外に漏れ出し、さまざまな出血症状が現れるのです。

? 統血作用の乱れ──脾不統血(ひふとうけつ)

 脾の統血作用が失調すると、以下のような症状が現れます。

? 鼻血、歯ぐきからの出血
? 血便、血尿、不正性器出血(崩漏)
? 皮下出血、紫斑
? 倦怠感、顔色の蒼白、息切れ
? 食欲不振、腹部膨満

 これらは、脾気虚によって血を統べる力が弱まり、血が“こぼれ出す”状態。
 慢性疲労や過労、甘いものの摂りすぎ、湿気の多い環境などが背景にあることも多く、季節では梅雨や夏に悪化しやすい傾向があります。

? 鍼灸で統血力を高める

 鍼灸では、脾経・胃経のツボを中心に、脾気を補い、統血作用を回復させる施術が行われます。

? 足三里(あしさんり):
   脾胃の気を補い、消化吸収と血の生成を助ける。
? 三陰交(さんいんこう):
   脾・肝・腎を調え、血の質と量を整える。
? 脾兪(ひゆ):
   背部の脾の要穴。脾気虚による出血症状に有効。
? 中?(ちゅうかん):
   胃脾の中心を整え、運化力と統血力を支える。

 これらのツボは、血を守る“防人”としての脾の力を静かに呼び覚まします。
脾は、血を守る静かな防人。
 その力が整えば、身体は潤い、心は安らぎ、命は穏やかに流れ続けます。
 鍼灸は、その防人の力に寄り添い、命の安定を支える術。
一針一息の中に、血と気の調和が息づいています。

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