2025年3月
身体の新常識 第44話 花粉症には乳酸菌を
花粉症を治療する方法としては、経口薬や目薬などによる薬物療法が一般的ですが、これらは症状を軽減させるための対症療法なので、根本的に花粉症が治るわけではありません。一方、アレルゲン(抗原)である花粉を少量投与することで、体をアレルゲンに慣らしていくというアレルゲン免疫療法というものもあり、こちらは対処療法ではない治療法のため花粉症の根本的な解決になることが期待されています。
しかし、治療が3~5年と長期に渡ることや、一定の割合で効果が得られない方がいるなどの課題もあるようです。
そのようななか、着目されつつあるのが腸内環境を整えて花粉症対策をする方法。
特に、乳酸菌やビフィズス菌を活用することによる花粉症対策の有効性が示されてきています。
いくつかの研究では、乳酸菌やビフィズス菌の特定の菌株が、マクロファージや樹状細胞などに認識されることで自然免疫系の活性化と免疫のバランス調整につながり、花粉症のアレルギー症状を改善することが示されています。
具体的には、スギ花粉症の人が以下の菌をプロバイオティクスとして摂取すると、症状がある程度改善したとの報告があります。
このように、これまでの投薬やアレルゲン免疫療法以外の、新しい花粉症の治し方として、将来的には乳酸菌の利用が一般的になる可能性があります。
腸内環境を整えるために
ここまでの内容から、花粉症対策として、腸内フローラが乱れないよう腸内環境を整えることの重要性がわかりました。
腸内環境を整えるためには、果物や野菜、全粒穀物などの食物繊維を多く含む食品、また、脂質の多すぎない魚、乳製品、肉などをバランスよく摂取することが大切です。。
また、先にお伝えしたような乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトなどのプロバイオティクス食品の摂取も意識しましょう。
ご自身の腸内フローラの状態に合わせた食生活の改善ができれば、より効果が期待できることでしょう。

身体の常識 第43話 六腑の働き 小腸について
「小腸(しょうちょう)」について小腸は、胃で消化された飲食物を受け入れ、カラダに必要なものを分別する働きがあります。
小腸は心と表裏の関係であるため、小腸の状態が悪くなると心も不安定になるため不眠・物忘れなどの症状を起こします。
・ 受盛(じゅせい)と化物(かぶつ)をつかさどる
飲食物(化物)を胃で消化吸収したものを受け入れる(受盛)ことをいいます。
・ 清濁(せいだく)の分泌と分別をする
カラダに必要なもの(清)と不要なもの(濁)に分けることをいいます。
飲食物は、水穀の精微(カラダに必要な栄養素)と不要なものに分けて、残りのカスを
大腸に送ります。

人はお互い様
私は倫理歴10年近くになり、2年間には「富士研」で研修を受け、本来ならば、人として模範になるはずであるべきですが、まるきりダメな人で、人様に頼り切っている状態です。
つい先日には、この会場にMS終了後、カバンを忘れるは、銀行にいけば、カードを忘れ、周囲の人たちに迷惑をかけるは、整理整頓ができなく、常にものを探し時間を無駄にしている毎日です。
でも、この世に生まれ、現在までこられたのは、両親はじめとして周囲の人仲間たちの支え、教えがあったからです。
治療家と患者様の関係も支えあいなのです。
毎日の治療で、私は患者さんを支えようとしながら自分が支えられていることを痛感しています。
そのキーワドは「お荷物感」と「役に立ちたいという願い」です。
両親はじめ多くの仲間に助けてもらって生活し、患者さんに助けてもらって仕事をしている日々の中、「お荷物感」が心の中でむくむくと膨らんでいきます。
私がいない方が仲間たちは楽なんじゃないか、
私が不自由なため仲間に負担をかけているのではと「お荷物感」が強まってくるとそんなことを考えてしまうのです。
それに張り合うのが「誰かの役に立ちたいと願い」
誰かの役に立つことが出来れば、自分はお荷物じゃないと思える。
だから鍼灸師という仕事は、私自身の心を支えていてくれているのです。
「私は人を治すんだ。自分が生きるために」
「たくさん迷惑をかけたけど、ちょっと役に立ったかなと思える人生を」私は生きたいと思うのです。
支えながら支えられ、癒していたら癒されて、そんなお互い様の治療家をめざしていけたら。
支えあいはとても人間らしい営みです。
「ありがとうございました」
そう言って治療場を出ていく患者さんに、私はこう返すようにしています。
「こちらこそありがとうございました」
そのうちこっちもお金を払わなくちゃいけなくなるんじゃないかな。

身体の常識 第42話 六腑の働き 胆について
「六腑」おのおのの役割は?「六腑」は、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦をさしています。
「六腑」は食べたものを受け入れ、消化・吸収をし、残った不要なカスを排出するための通り道です。
ここでは、それぞれの腑にどのような働きがあるかを説明します。
「胆(たん)」について
胆は物事を決断する機能があり、胆汁を貯蔵し、食物で得られた栄養素を全身に流す働きがあります。
肝は胆と表裏の関係であるため、胆の状態が悪くなると、肝も不安定になるため、めまい・イライラするといった症状を起こします。
・ 決断をつかさどる
胆は肝と表裏で密接な関係があります。肝が精神を安定させ、
胆は物事の決断を下し、精神活動を正常化させることができます。
・ 胆汁を貯蔵・分泌する
胆汁は肝によってつくられ、胆で貯蔵されます。胆が正常に働くと、
消化機能が良くなるため食べたものから得られる栄養は全身に流れます。

身体の常識 第41話 六腑とは
五臓」のおさらいをすると、「五臓」とは肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)のことをいいました。対して、今回紹介する「六腑」は胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃・大腸・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)から成ります。
三焦とは、気と水の通り道だと考えられています。
人が生きるために必要な気血水を生成し、貯蔵する役割のある「五臓」に対し、「六腑」は、食べものをどろどろに消化し受け入れ、運び、残ったかすを排泄します。
六腑は、食べたものを貯める場所ではなく、食べものが通り抜ける道であり、途中でつまることはありません。
五臓は、気血精を満たしているのに対し、六腑は気血を満たすことはありません。
精とは人が生きていくために必要な基本となるもので成長・発育をうながします。
食べたものは、胃、小腸、膀胱、大腸の順番に送られます。
肝でつくられた胆汁は、胆で貯蔵されます。
また、「五臓と六腑」は単独ではなくお互いに助け合いながら機能しています。
例えば、胆の機能が正常であれば、肝の機能である精神も安定すると考えます。
また「五臓と六腑」は「陰陽(いんよう)」「表裏(ひょうり)」関係にあります。
表裏とは、「五臓と六腑」はつながりがあり、一方の臓腑が弱くなると対になる「六腑」の機能も弱くなるという考えです。
例えば、肺と大腸で考えると、肺の機能が弱くなると、カラダの中の空気の循環が悪くなり乾燥するため、大腸に影響し、便秘になりやすくなるといった具合です。

身体の常識 第40話 五臓とは 腎について
腎について腎は人の成長や発育に関わりのある臓腑です。腎が不調になると、老化現象が起こりやすくなります。
・ 蔵精をつかさどる
人が生きていくには「精」が必要です。精とは細胞・ホルモンなど人の生命活動に
関わるものを指します。精には「先天の精」「後天の精」があります。
先天の精は、両親から受け継ぐもので、後天の精は毎日の食事などから作り出されま
す。
・ 水をつかさどる
腎は水分の代謝をコントロールしており、尿を作り出したり、
排出させたりすることで体の中の水分を調節しています。
・ 納気をつかさどる
腎は呼吸と関わりがあり、体の中にある病気の原因となる空気を排出することに
よって、腎の働きをコントロールしています。
・ 華は髪にあらわれる
腎の状態は、髪にあらわれます。腎が不足すると、抜け毛や白髪が出たり、
髪の毛のツヤがなくなります。
・ 耳に開きょうする
耳との関係が深く、腎が衰えると、耳なり、聞こえにくくなるなどの症状が
現れます
・ 液体は唾(つば)
腎の状態は、唾にあらわれます。腎の状態が正常であると、唾は口の中を潤し、
食べ物を消化しやすくします。
・ 情志(感情)は恐・驚
恐れや驚きは、腎に影響を与えます。腎が衰えると耳が聞こえなくなったり、
尿や便をもらしたりすることもあります。
「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」の役割を知ることによって、自分の体に起きた不調は何が原因かを知ることができます。まずは、現在の状態について確認してみてはいかがでしょうか?
例えば目がかすんだり、耳が遠くなってきたら肝腎の不調が原因かもしれません。簡単なところから確認してみましょう。

身体の常識 第39話 五臓とは 肺について
肺について肺は、全身の気と呼吸をコントロールし、体に潤いを与えます。
・ 気と呼吸をつかさどる
肺は、気を作り出し、全身に気を送ります。肺は、呼吸することにより、
体内の病気の原因となる気を排出し、自然界の清らかな空気を吸入します。
・ 宣発と粛降をつかさどる
宣発とは、肺の気を上に上げたり、体の外に向けることで、気をめぐらせたり、
発散させたりすることを意味しています。粛降は、肺の気を上から下へ下げたり、
体の中にむけることにより、浄化したり、気をおぎなうことを意味しています。
・ 水道を通調する
肺は、水をめぐらせたり・分散させたりする働きがあります。
体の臓腑に栄養と潤いを与えます。
・ 華は皮毛にあらわれる
肺は、皮膚や皮毛と関係が深く、外からの邪気から体の表面を守る働きがあります。
肺の働きが悪くなると花粉症や皮膚の乾燥などが起こります。
・ 鼻に開きょうする
鼻と関係が深く肺が不調になると鼻水・鼻づまりなどがおこります。
嗅覚や声に対する病気は肺につながっていると考えます。
・ 液体は鼻水
鼻の中を潤す作用があります。
・ 情志(感情)は悲・憂
肺は悲しい・憂うなどの感情を生み気を消耗しやすくなります。

身体の常識 第38話 五臓とは 脾について
脾について脾は、食事を消化吸収し、気血水を作り出す臓腑です。
四肢や筋肉などにも影響を与えます。
・ 運化をつかさどる
運は運ぶことで、化は消化吸収のことを意味しています。
口から摂取した食べ物を栄養分として吸収し、気血水を作り出します。
・ 統血をつかさどる
脾は血を作り出すだけでなく、血尿・血便・不正出血など、
血が血管の外に漏れ出すことを防ぎます。
・ 四肢と筋肉をつかさどる
人の手足と筋肉は、脾の栄養状態が大きく影響を与えます。
脾が正常に働くと、手足や筋肉は丈夫でスムーズに動きます。
・ 華は唇にあらわれる
脾の状態は唇にあらわれます。脾の状態が良くなると、
唇の色がよくなりツヤが出ます。
・ 液体は涎(よだれ)
脾の状態が正常であると、口の中の唾液が食事や消化を助けてくれます。
逆に悪くなると、よだれが出ます。
・ 口に開きょうする
脾の状態は口に現れ、脾が悪いと味覚などに影響が出ます。
・ 情志(感情)は思・憂
脾の状態が悪くなると、思い込み過ぎたり、食欲が無くなったりします。

身体の常識 第37話 五臓とは 心について
心について心は五臓の中でももっとも重要な臓器です。心は、精神・意識をコントロールします。血液は全身に流れているため体の臓腑にも影響を与えます。
・ 血脈をつかさどる
心は、血を血管の中に通して、全身に運ぶ働きがあります。
心の働きがよくなると、血液がうまく循環するため、
正常な心拍数・リズムなどが安定します。
・ 神志(しんし)(精神活動)をつかさどる
神(しん)は、生命活動・精神活動をさしています。
顔色・視線・体の動き・精神などの状態をコントロールしています。
・ 華は顔にあらわれる
心の状態は、顔にあらわれます。
心が正常に働くと顔色はよく、明るい表情になります。
・ 舌に開きょうする
心の状態は舌にもあらわれます。心の状態が悪くなると、
味覚障害が起きたり、ろれつが回りにくいなどの症状が起こります。
・ 液体は汗
心の状態が悪くなると、汗がじっとしていても出たり、
動くとさらに汗がひどくなることもあります。
・ 情志(感情)は喜
心は喜と関係があります。「喜」の感情はプラスの感情なので、
プラスの感情を維持することで心の働きは安定します。

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