身体の新常識 第17話 脾胃の働きが悪いと、肥満になる

2024年11月1日

 漢方では、肥満の原因は「食べ過ぎと運動不足」だけでなく、「体質」にも問題があると考えています。
肥満を生む体質には、「脾胃」のはたらきが関係しています。
脾胃は、飲食物を消化吸収し、代謝するはたらきがある臓腑です。
現代的な胃腸のはたらきだけでなく、からだ全体のエネルギーを作り出していく大切な役割を担っていると考えられています。
 脾胃が強く、消化・吸収・代謝のはたらきがすぐれていれば、食べ物をとりすぎても容易に太ることはありません。

 例えば、スポーツ選手の多くは普通の人よりもたくさん食べますが、肥満の人はあまり見かけません。
それは運動をしていることによって、基礎代謝能力が備わっているからです。
 しかし、普通の人がスポーツ選手と同じような食事を摂り続け、その人がもっている脾胃のはたらきを上回ってしまうと、代謝しきれない栄養物が体脂肪としてからだ中に蓄積されてしまいます。

 一方で、食が細く、あまり食べない人が太ってしまうことがあります。
こうした食の細い人は、体質的に脾胃が弱いと考えられます。
消化吸収機能が低下していると、食べる量は少なくても日常的に代謝障害を起こし、からだ中に余分な水分が溜まってしまうのです。
このようなことから、肥満については脾胃のはたらきを高めることが、漢方鍼灸治療のポイントになります。

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