身体の新常識 第9話 夏の脳梗塞と漢方(鍼灸)

2024年8月15日

 脳梗塞で一命を取り留めたとしても、半身不随などの後遺症が残ります。
漢方では、予防が、一番大切だと考えています。
ここでは、夏の脳梗塞が、なぜ起こるのか考えていきます
国立循環器病センターの調査(2003年度)によると、脳梗塞の発症は、意外にも夏(6~8月)が一番多いのです。
同じ脳梗塞でも、冬は、心臓に発生した血栓が脳の動脈まで流れてひっかかる、「心原性脳塞栓症」が多いのに対して、夏は、脳の動脈硬化を下地にして、血管が閉塞しておこる「脳梗塞」が多いのです。

◎ 夏の脳梗塞が多いタイプ(ハイリスク)
①高血圧の方
②高脂血症の方
③糖尿病の方
④喫煙習慣のある方
⑤メタボリックシンドロームにあてはまる方

★ 一般的な夏の脳梗塞の予防法
○水分を補給する。一日2リットル以上。
○減塩する。

予防法の問題点
 確かに、上記の予防法も良いのですが、夏の飲料水の消費量は、年々アップしていますが、脳梗塞は、減っていません。
なぜなら、水を大量に飲んでも、身体の全体に行き渡るわけではありません。
また、水の大量摂取は、胃液や消化酵素を薄めて、消化能力を低下させてしまいます。

漢方の観点
 漢方では、人が、水を飲むと、脾(消化器)で吸収して、さらに肺(呼吸器や皮膚)に運ばれ、これが全身に巡り、腎に戻って再利用され、その間に、適度に汗や尿として排出されるとされます。
この全体のシステムの中で、水分が、津液(身体中の大切で有用な体液)として、利用されなければ、身体が、健康的に潤っているとは言えません。

夏の脳梗塞の漢方的予防の考察

夏に汗がでる時は、気(生命エネルギー)も一緒に失う。
気の働きが落ちると身体の代謝機能が低下し、脳梗塞になりやすくなる。
そこで、漢方(鍼灸)で足りない気を補充する。
夏に水や冷たい物を摂りすぎると、脾(消化器)の働きが低下し、脳梗塞などの病気になりやすくなる。漢方(鍼灸)で脾の働きを補充する。
暑い夏は、体内の熱を血流の循環によって、体表部に運んで、熱を発散させようとするため、心(心臓)に大きな負担がかかり、心が弱ると、心房細動がおこり、心臓内に血栓ができて、脳梗塞になりやすくなります。漢方(鍼灸)で心の働きを助ける。
高脂血症や糖尿病の方は血液の粘度が高く動脈硬化がすすみやすい。
夏は熱を放散させるために、末梢血管が拡張して、脳への血液の供給が低下し、一過性の虚血状態になり、脳内に血栓ができ、動脈硬化により狭くなった血管が、脳梗塞になりやすくなります。漢方(鍼灸)で血をサラサラにする。
高血圧の方は、夏は、血管が拡張するため、一時的に血圧が下がります。
但し、冷房のかけすぎや、秋から冬にかけて、肝が高ぶり、血圧が、急上昇して、脳出血になりやすくなります。漢方(鍼灸)でイライラを鎮めましょう。

以上のような複合的な要因で、脳梗塞が、夏に多く発生すると漢方では考えています。
はじめは、動脈硬化などにより、微小循環障害が起こり、脳の毛細血管が詰まり、無症候性の多発性脳梗塞(日本人の二人に一人は、ラクナ梗塞)を起こす事が多く、40歳以上の方では、脳ドックにて、よく見つかります。
ほうっておくと、自覚がほとんどないうちに、脳の大事な部分に梗塞がおよんで、中風になり、運動麻痺や知覚麻痺、感覚麻痺などを招くようになり、痴呆症(脳血管性痴呆症)になります。
また、冷房のあたりすぎや、秋から冬にかけては、血圧も自然と上昇してくるため、脳出血のリスクがたかまります。

脳梗塞は予防が一番ですね。



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