新身体常识 第3集 中风与中医 (针灸)
中医学では、脳は奇恒(きこう)の腑のひとつに位置づけられており、その機能は臓腑の心(しん)・肝(かん)・腎(じん)の総合的な作用により行われていると捉えています。
脳の発達や機能維持は「髄を生じ、脳に通じる」腎との関わりが深く、脳の人間らしい高次の精神活動は「神志(しんし)をつかさどる」心と関連しており、脳の情緒活動や自律神経系は「疏泄(そせつ)をつかさどる」肝と関係しています。脳梗塞は、これら心・肝・腎の機能失調と深く関係しています。
なお奇恒の腑とは、中空である点では腑のようですが、精気を蔵するという点では臓のような存在なので、五臓にも六腑にも入れるわけにいかず、奇恒(いつもどおりではない、の意)と呼ばれています。
また痰飲(たんいん)、血?(けつお)、気虚、内風などの病邪の存在も、脳の機能障害を生じます。
たとえば痰飲は円滑な脳の機能の妨げとなり、血?は血流障害の引き金となります。
気虚は脳の機能を低下させます。
内風は、脳の機能を乱します。
現代医学的には脳梗塞は脳血管障害のひとつですが、中医学的には上記のように臓腑機能失調や病邪の存在を背景に生じる疾患です。
したがって、これらの臓腑機能の安定や病邪の除去は、脳梗塞の予防にもなります。
なぜなら心・肝・腎が安定して機能し、病邪が存在していなければ、脳の機能も安定し、脳に余分な負担もかからないからです。
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