2024May

漢方の暮らし 第97話 激しい頭痛には

2024年5月29日

 お酒を飲みすぎた日の翌日に頭痛や、狭い部屋での会議をしたとき、緊張したときなどに起こる急な頭痛は市販の頭痛薬が良く効きますが、慢性的な頭痛は厄介です。

 これは、痛み方の違いで原因を見分けます。
例えば、"Stagnation"の方は張ったような激しい痛みを訴えることが多いです。「頭がガンガンする」など。
普段から緊張する仕事をしている。気が張っている、緊張しやすい、イライラしやすい方に多いです。

 血の流れが滞っている「?Blood"の方の痛みは比較的強く、針で刺されるようなチクチクした痛みが起こります。
特に夜に痛みが強くなる傾向があります。

 水の流れが滞っている"Water poisoning"の方は重苦しい、どんよりした痛みが起こります。
雨の日や、曇りの日に比較的多く起こるのが特徴です。「不通即痛」といって気や血や水の流れが滞っているために起こります。

 慢性的な頭痛は、気や血や水の滞りを解消する食材を普段から利用して、鍼灸や漢方薬による治療をうけながら体質を改善することが根本療法になります。

漢方の暮らし 第96話 胆と肝

2024May 25 -

 「五臓」にはそれぞれに付随する「六腑」があります。
「肝の腑は胆です」肝と胆は経脈によって繋がり、表裏の関係にあります。
「胆」は現代医学でいう胆嚢の働き、つまり胆汁を分泌する作用の他に特別な働きがあります。
それは「決断を司る」という働きです。
 物事の判断や決定は「胆」の働きにより行われます。
「胆」が充実していれば物事に動じないでビクビクしたり、怯えることはありません。
 「胆の働き」がしっかりしている人は「胆が座っている」ひとです。
ストレス、過労、慢性病、老化などによって決断力が弱くなったり、ビクビクしやすくなったりするのは「胆」が弱っている証拠です。

 「肝と胆」の関係に、「謀慮」と「決断」There is.
"Liver"は物事を深く考え計略を練る知恵と勇気を持つ将軍。
「胆」は公正かつ正確な判断で決行する官だということです。
首相と官僚の関係みたいなものでしょうか。

 肝も胆も解毒や胆汁の分泌といった解剖的な働き以外に、人の心や考え、感情などの部分に関係することを昔の人は感じとっていたのです。

漢方の暮らし イライラしやすい人は酸っぱいものが好き?

2024年5月22日

 "Stagnation"の体質の方は、往々にして酸っぱいものがお好きなように感じます。

 「五臓の春」は「肝」、「色は青」、「五味は酸」です。
酸味のある生薬は、汗や鼻水、下痢などの排泄を抑える働きがある漢方藥や、緊張を抑えて不眠を改善する漢方薬、筋肉の引きつりを改善する漢方薬などに配合されています。
つまり、酸っぱいものは汗や下痢、おりもの、精液などを止めたり、緊張を和らげストレスを解消したり、不眠を解消する働きがあるのです。
 酸味のある食品には、レモン、梅、蜜柑、スモモ、ダイダイ、葡萄、黒酢、杏、サンザシなどがあります、

 「肝と脾」は相克関係になり、酸っぱいものを食べすぎると胃腸の働きを悪くします。
「肝の働き」が亢進しすぎると「脾の働き」が減退し、神経性胃炎などを起こすので注意してください。

漢方の暮らし 第94話 胸の中に梅干しが詰まっている

2024年5月19日

 のどの違和感や、何かが詰まっているような感じで、医療機関で調べてみても異常がない、というケースは多くあります。
種や出来物があるように感じる方もいらっしゃいます。

 梅核気の原因の多くが自律神経系の乱れ、中医学では「肝」の失調・乱れが原因していることが多いので、ストレスをためない生活習慣が大切になります。

 ストレスは精神面のことだけではなく、睡眠不足・運動不足・疲労の蓄積・気温の変化もストレスとなります。日ごろから適度に身体を動かすことで血行が良くなり、気が滞りにくくなります。
 また、朝起きにくい人や貧血傾向の方など「血」が不足していると「気」の働きも弱いため、多少のストレスでも気血の滞りが起こりやすくなります。
毎日の栄養バランスを考え規則正しい生活習慣を送りましょう。

 鍼灸施術は、「気の流れをよくする」「痰を取り除く」を目的で施術します。
日々の生活を見直しながら、困っているときは抱え込まずに医師・鍼灸師に相談しましょう。


Life in Chinese Medicine Episode 93 Meniere's Disease and Acupuncture

2024年5月15日

 メニエール病の原因と症状

 ふらつきやMeniere's diseaseは、内耳にあり、体の平衡をコントロールする三半規管に、過剰な水分が溜まり、そのために体がふらつく、回転性のめまいや耳鳴りがし、視界が揺れてみえたりする、一連の症状がおこる病気です。

 メニエール病を中国医学(中国の伝統医学)で改善するには、体内の水分のめぐりをよくするために腎臓の働きを強め、尿の出をよくする“補腎利水(ほじんりすい)”の方法を用いて、症状改善、体質の改善を行います。

◎腎を強化する

 腎内耳にある三半規管は、人類の進化の過程の中で、もともとは人類の祖先が魚類の時代に合った平衡器官である側線(魚の体の両側にある筋状の器官)を、金魚鉢の中に組み込んだような構造をしており、その金魚鉢の水が過剰に溜まることによって、めまいや耳鳴りが起っているものと考えられています。
 そこで、中国医学では、体の水分をコントロールする動きの中枢である、五臓のうちの一つである『腎(じん)』の強化を行います。

 日常においては、塩分や甘味のとり過ぎを控え、めまいやふらつき、難聴、耳鳴り等の症状が緩和して来たら、生活の中に散歩などの運動を取り入れて、体力の強化をはかりましょう。

Networking events with friends

2024年5月12日

 5月12日、ムカイ電気様の好意で、名古屋市中央倫理法人会の倫友と、ベトナムからの就労者仲間たちとの交流会を開催し、娘家族と一緒に楽しんでまいりました。

 倫理の「倫」はニンベン「イ」と輪のつくり「侖」から組み合わせた「人の輪」「仲間」を意味します。
そしてそこに「理(筋道・道理)」がくっつくことで、倫理は「仲間や共同体の中で守るべき道理」、言い換えれば「社会の中でのよい生き方」という意味になります。

 「社会の中でよい生き方」とは何かを勉強している仲間から、楽しみながら、色んな教訓を得て、娘家族も喜び、明日への糧にと張り切っていました。

Life in Chinese Medicine Episode 92 Acupuncture and Acupuncture

2024年5月9日

 昔から、夜になるとむずかって夜泣きが止まらなかったり、
人一倍泣き虫をおばあちゃんたちが「疳の虫」がいるといったものです。

 なにも原因がないのに夜泣きをしたりひきつけたりするお子さんに困っている方は大勢います。
親はもとより兄弟も寝不足になったり、おんぶして外を歩いたり、困り果てているのが現状です。
 原因がないのではなく、少しのおしめが濡れていたり、腕がムズムズしたり、赤ちゃんにもいろいろ不都合なことがあるでしょう。
それを敏感にストレスに感じる赤ちゃんは生まれつき
"Stagnation"の体質なのでしょうね。
身体中に気が溢れていて、ほんの少しのストレスにも敏感に反応してしまうのでないかと考えられます。
 大きくなっても何かにつけて親と衝突したり、家庭内でイザコザを起こしたりする場合もあります。
余分な感情を発散させるはけ口を一番身近な家庭に持ち込むことが多いようです。

 「鍼灸施術」は、「疳の虫」のお子様に効果的です。
母子同服といって子供と一緒にお母様も施術を受けられるのをお勧めします。
そんなお子さんを育てている親御さんもストレスの発散が必要なのです。

Spring Wine Festival

2024年5月5日

  5月3・4日 小牧ワイナリーに於いて、「春の葡萄酒まつり」が開催され、参加してきました。 
 二日間、青空の下で、美味しい料理、ワインを飲み、笑顔一杯の二日間であり、仲間と楽しんでまいりました。

 「小牧ワイナリー」は、障害のある仲間たちが、葡萄の栽培、酒造、販売を一貫として働いている愛知県唯一のワイナリーです。

 健常者も障碍者もお互いに自身の個性や特徴、能力を知り、必要に応じて協力して、暮らしの拠点としての場、地域社会、仲間との交流の場となります。
それが、小牧ワイナリーです。

Life in Chinese Medicine Episode 91 Food Regimen for Anxiety

2024May 1 -

 香り野菜や酸味のある食材で、"Qi"の滞りを解消します
"Qi"のめぐりの滞りを改善する「理気作用」をもつ食材の代表が、「香り野菜」Are.
「春菊」、「三つ葉」、「せり」、「セロリ」、「パセリ」などのスッキリした香りのある野菜のことで、
その香りの精油成分に気の流れをよくしてストレスを解消する働きがあります。
ただし、長時間火にかけすぎると、大切な香り成分がとんでしまうので、料理の最後に加えてさっと加熱するなど工夫してください。
香り野菜の中でも「セロリ」は葉に血圧を下げる効果があるといわれ、血圧が高い気滞の人は葉も捨てずに料理に使うとよいでしょう。
 また、気の流れをつかさどる藏腑"Liver"を元気づけるのは、五味でいうと「酸味」になります。
「柑橘類」、「梅干し」、「黒酢」などの酸っぱい食材は、肝の働きを高めて、気滞を改善してくれます。

?>気滞の代表的な症状に効く食材を覚えて使いましょう
 一口に気滞体質といっても、症状は多岐にわたります。
ですから気滞の食養生では、それぞれの症状によって使う食材をある程度選ぶ必要があります。
基本的には「陰虚」と同様で、「平性」「涼性」の食材で体の熱を冷まします。
 なかでも、イライラして赤ら顔の人は、とくに「辛味」や「熱性」の強い食材を避けなければなりません。
また、お腹が張ってガスやゲップが多い人は、ガスが発生しやすい「イモ」や「豆」を多く食べないほうがよいでしょう。
 血圧が高い人は、血圧を下げる働きのある「セロリの葉」や「苦瓜」がおすすめです。
 片頭痛には「菊花」、目の疲れには「クコの実」が効きます。

?気滞改善の心得
①香り野菜をたくさん使い、火を通しすぎないように仕上げる。
②柑橘類など、酸っぱい食品を毎日食べる
③イライラして怒りっぽい人は、強い辛味のものや香辛料を控える
④ガスやゲップの多い人は、イモ、豆を控える
⑤ミント、ジャスミン、クコの実、菊花、ウコン、ラベンダーなどを入れたお茶を飲む

 「食養生」「生活習慣」などでも改善されない場合は、早期に医師・鍼灸師に相談して、適切な診療、施術を受けてください。