漢方の暮らし 第70話 病気は正気と邪気の戦い

2024年1月24日

 正気とは人間がもともと持っている生命力・自然治癒力です。
体の中に必要な量の正気が満たされていれば、病気に対する防衛能力は高くなります。
正気が正常に働くためには、気血水・陰陽などのバランスが整えることが大切です。
 例えば、正気が満たされていれば夏の熱邪(ねつじゃ)・暑邪(しょじゃ)などの邪気が体に侵入しても病気になる可能性は低くなります。
湿邪とは梅雨の時期に起こりやすい湿気、暑邪は夏の暑さのことです。ただし、正気が満たされていても、平常時より邪気のパワーが強ければ病気にかかりやすくなります。

 邪気とは病気を起こす原因となるものです。
邪気は体の外部から侵入するもので、風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・火邪(かじゃ)があります。
外邪は、体の外から皮膚や鼻・口などを通過し体の中に侵入します。

 正気邪気の戦いには、2つの考えがあります。
病気が発症あるいは進行する原因は、正気邪気の変化によって起こると考えています。
 少し難しい言葉ですが、漢方の考えである「正勝邪退」(せいしょうじゃたい)「邪勝正衰」(じゃしょうせいすい)について説明をします。

正勝邪退(せいしょうじゃたい)

「正勝邪退」とは、病気を治療する、または自然に治癒することで、少しずつ健康な状態になることを意味します。
病気がよくなる理由は、邪気が弱く症状も軽いため、正気が邪気に勝つからだと考えます。
すなわち、邪気が弱ければ症状も軽くなり、邪気が強ければ病気の状態も重くなります。
また、正気が強ければ邪気を抑える力も強くなります。
その人の体質や治療を行うことによって、邪気が弱くなり正気が勝るといったこともあります。
病気が良くなると、気血水陰陽のバランスがよくなるため、これまで不調だった部分だけでなく体全体の健康状態が良くなります。

正気と邪気の強弱だけではなく、病気が現れた場所が異なれば、病気の状態も異なります。
例えば、風邪(ふうじゃ)の影響を受けた場合、邪気が軽ければ軽い皮膚のかゆみなどに抑えられます。
「正勝邪退」は、正気が勝り邪気が衰退すると考えることができます。

邪勝正衰(じゃしょうせいすい)

「邪勝正衰」とは、逆の状態になることを意味します。
邪気が強く正気が弱いため、生命力や自然治癒力が低くなっている状態です。正気邪気に負けるため、病気の状態が悪化し、適切な治療を受けることができなければ、状態によっては予後不良に至ることがあります。

 この状態は、邪気が極端に強く、正気が極端に弱いため、正気邪気と戦う力がない状態です。
例えば、春に多い風邪(ふうじゃ)は、上半身から侵入しやすく、正気を損傷させます。
ある程度正気が強ければ邪気を追い出すことは可能ですが、正気が弱かったりすると邪気がどんどん体内に侵入し病を悪化させます。
これらを改善するためには、春になる前から脾の状態を整えることで正気を増やすことが大切です。
「邪勝正衰」は、邪気が勝り、正気が衰退すると考えることができます。

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