2023年8月
漢方の暮らし 第48話 心の働きは血や水を全身に巡らせる
「心気」の働きは、そのエネルギーで血流や水を全身に送り出して、身体の隅々まで運ぶことです。この働きは解剖学的な「心臓」と一緒です。
臓器や組織、皮膚など全身には約60兆個の細胞があります。
血管は身体中の隅々の抹消まで張り巡らされ、全部つなぐとなんと総延長10万㎞、地球をほぼ2周半廻る距離になります。
そのうち最も大きな割合を占めているのが毛細血管です。
「心」はその血液や水を載せて走る動力、エンジンに相当します。
非常に長い距離なので、エンジンのパワーが落ちると、60兆個の細胞すべてに血液を滞りなく運ぶ働きに不調が起きます。
夏の暑さは「心」の血や水を運ぶエネルギーを低下させて、元気ややる気を消失させ、また「?血」の原因になります。

漢方の暮らし 第47話 夏は熱中症と免疫力低下に注意
夏は湿気と共に、「陽気」が盛んになり温度が最も高くなる季節です。高温多湿の時期に注意しなくてはならないのは、「熱中症」と元気の消耗です。
暑い夏は身体の熱を放出するために汗をかき、汗から水分が蒸発することによって身体を冷やそうと働きます。
しかし、暑さによる汗のかきすぎは水分や塩分も一緒に消耗して体の中のミネラルバランスを崩します。
また湿度が高いと汗の蒸発を妨げるので、身体に熱が籠ったままになってしまいます。
身体に高温になったまま、ミネラルバランスが崩れると、自律神経が乱れ、眩暈や痙攣、頭痛などが起こり、
そのまま手当が遅れると命の危険もあるのです。
「熱中症」の予防には温度と湿度を調節すること、こまめな水分補給が必要です。
漢方では「熱中症」と同時に、「気」の不足「気虚」が起こることを心配しています。
暑さによって、汗と一緒に「気」が消耗してしまうのです。
身体の熱を冷ます食材
苦瓜、胡瓜、糸瓜、冬瓜、蓮根、トマト、セロリ、西瓜、バナナ、キウイフルーツ、ハッカ、緑豆、豆腐
茶、菊花、大麦、小麦、蕎麦、蟹、蜆、昆布など
喉の乾きを止める食材
トマト、胡瓜、蓮根、西瓜、メロン、桃、レモン、蜜柑、葛など
口や喉を潤す食材
ザクロ、杏、葡萄、蜜柑、レモンなど
皮膚や身体に潤いを与える食材
豆腐、黒豆、杏、クコの実、白きくらげ、牛乳、蓮根、黒胡麻、牡蠣、鶏肉、豚肉など
それぞれの症状に合わせて利用することをお勧めします。
ちょい足し漢方には、西瓜、杏、クコの実、白木耳、黒胡麻、牡蠣などをお勧めです。

漢方の暮らし 第46話 たるみの原因
下半身だけ太かったり、横から見ると、下腹が出ている方がいます。下半身太りや足首が浮腫む原因は、胃腸の働きが悪く、「血」や「水」を臓器や組織に運ぶ力が不足している
ことです。
その結果、下半身に水が溜まりやすくなるのです。
朝夕で1㎏以上体重が上下する方は、胃腸の働きが悪くなり水捌けが悪くなっている場合があります。
内臓や組織は「気のエネルギー」で、本来正しい位置に支えられています。
ところが、「気」を作り出す胃腸の働きが低下するとそのエネルギーが弱まり、胃腸が下がってポッコリ腹になったり、目の下や頬がたるんだり、ヒップや乳房が下がってきます。
胃腸の機能を良くして、「気虚」を改善すれば、ポッコリ腹、目の下や頬のたるみ、ヒップや乳房が下がるなどの症状が改善されます。
全身の血流を良くするためにも、半身浴や足湯で下半身をしっかり温め、スクワットなどで足腰の筋肉をつけると効果的です。
夏にとれるもの、南国でとれるもの、例えば胡瓜・茄子・苦瓜・冬瓜・西瓜などは水捌けを良くする食べ物ですが、身体を冷やす効果があるので、調理で工夫してください。
ちょい足し漢方は黒豆・小豆・金銭草・オオバコ・はと麦などをお勧めします。

漢方の暮らし 第45話 ダイエットしても痩せない!!
「食べないのに」「三食とも生野菜を中心にご飯や肉などを控えている」「スポーツジムに通っている」が痩せない。
明らかに胃腸の機能低下が認められます。
胃腸の働きが悪くなると水を運搬する作用が衰えて浮腫みが生じ水太りになります。
舌が濡れてポテッとして周りにヒラヒラひだがついていたら、まず「水毒」を疑ってみてください。
しっかり食べ、タンパク質たっぷりの食事に変えると、体重が変わらなくても、筋肉が増えると基礎代謝が上がるので、寝ている間にもカロリーが使われ、痩せやすくなります。
食事制限で痩せられない女性は、まず胃腸の働きを良くして「気血」を作り、新陳代謝を良くすることが先決です。
肉類を含むタンパク質を摂り、野菜は生野菜を避けて温野菜を調理して食べること、
通勤には一駅前で降りて会社まで歩くことをお勧めします。
その結果今まで悩んでいた便秘が解消し、顔色も体調も良くなって気持ちが前向きになります。

漢方の暮らし 第44話 胃腸の弱い人は!!!
食後すぐにトイレに行く人には、痩せ型で胃下垂のある方が多いです。同年齢に人と比べると食が細い、脂っこいものですぐ下痢をする、食べ終わるまでの時間がかかる、
薄味のものしか食べたくないなどの症状がある人です。
そのように胃腸に自信がない方は、あまり無理をしないので、長生きをする方が多いように感じています。
逆に胃腸に自信のある方は暴飲暴食を繰り返し、秋の初め頃に夏バテする人が多いのです。
そのまま手当を怠ると、秋に疲れや、集中力の低下、無気力などの症状が出てくる場合もあるので注意してください。
「五臓六腑」にはそれぞれ、健康に役立つ色と味があります。
甘いものは「脾」に働きます。
甘未には滋養強壮作用があり、「血」や「気」を補い、体力を増進して疲れをとる働きがあります。
また、組織に潤いを与えたり、痛みを和らげる働きもあります。
運動した後や疲れた時に無性に甘いものが欲しくなりませんか??
甘未の食べ物は、コメ・小麦・トウモロコシ・大豆・ジャガイモ・サツマイモ・南瓜・栗・人参・ゆり根
ナツメ・蜂蜜・甘草・朝鮮人参などです。
これらの食べ物は胃腸の働きを良くして元気を出す性質があります。
ただし食べ過ぎは、太りすぎや糖尿病などの心配もあるので注意してください。
甘未の食べ物の中で、ゆり根・ナツメ・甘草・朝鮮人参は漢方薬の材料、つまりちょい足し漢方としてお勧めです。

8月 診療のお知らせ
8月 診療のお知らせ目もくらむような真夏の日差しのパワーが、
ますます皆様の発展の後押しをしていることと存じます。
さて、8月は下記の要綱で診療・休診させて頂きます。
8月11日(金)山の日 平常通り診療
8月13日(日) 休診
14日(月) 休診
15日(火) 休診
まだしばらくは厳しい暑さが続くと思いますが、体調管理には充分気をつけてお過ごしください。

漢方の暮らし 第43話 腸は考える臓器
地球上に最初に生物が生まれたのが約40億年前。竹輪だった人間も、5億年くらい前になると二本足で歩くようになり、最後に神経系や免疫系が頭部に集まって「脳」が形成されたのです。
「腸」だった人間でも、「腸」が「脳」の役割を果たしていたということが証明されています。
その証拠に、人間の「腸」にはものすごく多くの神経細胞が集まっています。
人体における「セロトニン」の量は全体で10㎎ですが、そのうち約90%は腸に存在して、「脳」に運ばれるというのです。
つまり、竹輪だった頃の私たちは「腸で考えていた」のです。
ストレスや不安感など精神的な問題は、「腸」の受け持ちだったのです。
「腸は第二の脳」といわれるゆえんです。
「腸」が免疫力と考える力を持っているという説は多くの先生が提唱しています。
胃腸関係が丈夫な人は、きっと「ふっとぱらな人」「腹が座った人」になれるでしょう。

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