2023年3月19日

漢方の暮らし 第9話より第11話

2023年3月19日


第9話 山芋とオクラ

 山芋は漢方薬では「山薬」といい、元気を出す「補気」という分類の生薬になります。
 胃腸を丈夫にして体力をつける生薬の代表になります。
「腎」の機能を高め、生殖機能を強くして精液の漏れを防ぐ働き、肺の機能を高める働きもあります。
 胃腸の弱い人の下痢や食欲不振、肺を元気にして長引く咳を楽にしたり、
「腎」を元気にして老化に伴う遺精・頻尿・尿漏れ・婦人のおりものなどに使われる漢方薬に配合されています。

 朝の食卓で、必須アミノ酸を多く含む納豆に山芋、オクラをのせて食べればより効果的です。
オクラは、刻んだときにぬめぬめする粘り気が効果的です。
食物繊維が多く、コレステロールを減らしたり、ミネラル、カリウム、ビタミンが豊富なので、
夏バテ、便秘や下痢などの整腸作用が期待できます。

第10話 クコをちょい足して腎を元気に

 「腎」を元気にする食べ物を毎日とって老化を防ぐ食べ物はいろいろあります。
まず、代表的なものとして、山芋がありました。

 もう一つのチョイスは、クコの実です。
杏仁豆腐の上にチョコンと乗っている、赤い小さな実。あれがクコの実です。

 クコの実は、漢方では「クコシ」という名前の生薬です。
働きは「滋補肝腎、明目、滋肺」です。
わかりやすくいうと、肝臓と腎臓を元気にして老化防止やイライラを解消したり、
肺を潤して空咳を解消するという働きがあります。

第11話 黒ゴマをちょい足して免疫力アップ

 ゴマは「セサミン」という名前で健康食品として市販されています。
黒ゴマは「黒脂麻」という生薬になっています。
 ・ 「肝」と「腎」の働きを高める作用
 ・ 血を増やして精力を付ける作用
 ・ 腸を潤して便通をつける働きがある

 例えば、肝腎の衰えによるめまい、耳鳴り、足腰のだるさ、若白髪、目のカスミ、脱毛、便秘、肌荒れ・・・
効果がいっぱいの食材です。
とくに、肝腎の陰血を補い、精血不足による若年性の白髪・白髪の治療に優れています。

 ゴマは消化されにくいので、切りゴマか、すりゴマをお勧めします。
毎日、ティースプーン2杯程度を毎日のご飯に振りかけるだけ。
続けやすく、便利です。
 老化防止に手軽に利用でき、しかも、美味しくいただけます。

 白髪は早い人は20歳代から生え始め、30歳代になるとどんどん増えてきます。
若白髪の原因は生まれつきもありますが、老化や栄養不足などの原因になるとされています。
 髪の成長や発育には、タンパク質、ミネラル、ビタミンなどが必要で、
その栄養を頭皮の細い血管まで届けることが大事です。
 漢方では髪の血余といいます。
精血同源といって、血は精に変換され、精は血に変換されます。
髪の毛を見れば、その人の腎の働きがわかるというわけです。
 現在の医療でも髪の毛一本取って調べれば、その人の栄養状態がすべてわかるというわけです。

 まだ若いのに白髪が増えてきたという方は、まず、腎の弱りが一つの原因として考えられます。
 イチオシの食品は黒ゴマです。
肝と腎を元気にして、精力をつけて血を補う黒ゴマを、毎日ふりかけなどして利用してください。

 漢方薬や薬膳に使われているのは黒ゴマですが、白ゴマは麻油、香油として油に使われています。
成分的には黒ゴマは「アントシアニン」が多く抗酸化作用に優れ、白ゴマは「セサミン」が多いとされています。