2020May 29, 2016

中医学の薬箱 パート1 (心脾両虚)

2020May 29, 2016

忘れ物やうっかりミスは誰にもあることです。
しかし、それが余りにも頻繁だと、笑いごとですまなくなってきます。
物忘れに加え、言いたいことがうまく話せない、あたまが「ボーット」とする。集中力が続かない。
こうした状態を総じて「健忘」It is called.
実は「健忘」は高齢者特有の悩みでなく、若年層にも起こりえます。
 中医学では、若年層の「健忘」の主な原因として「思慮過度」があげられます。
脳の酷使は、精神活動や血の循環をつかさどる"Heart."の働きを低下させ、脳への血の廻りを悪くします。
同時に、緊張状態が続くことで胃腸の働きをつかさどる「脾」も停滞させ、これを「心脾両虚」といいます。
"Heart."の低下によって、記憶や思考、集中力などの能力がダウンします。
さらに精神不安や不眠も招きます。
また、「脾」の弱まりは食欲不振や貧血、便秘や下痢などの症状として現れます。
「脾」は血の生成や統制に働くため、弱まると無月経や閉経、不正出血にもつながります。
 「健忘」やその他の症状は、認知症や病気までいかないけれど、毎日の生活を困難なものとします。
解決法は?
神経の緊張をゆるめること、血の廻りを良くすること、胃腸を温め、いたわることです。

1.陰陽リズムに合わせて23時までには寝る  
心身を休める睡眠は「心脾虚」の特効薬です。
最も重要な睡眠タイムが22時から2時です。
この時間帯に就寝していることで心身が休まり、
一日の切り替えがうまくできます。
用事があっても23時には切り上げってベッドへ。
早朝へ繰り越しましょう。

2.胃腸は極力冷やさない
 胃腸を冷やすと、その働きは停滞するのです。
ただでさえ働きが低下している「心脾両虚」の人にとって、
冷たい飲み物は厳禁と心がけて、お茶はあたたかいもの、
水よりお湯が基本です。
少なくても常温で飲むことを習慣にしましょう。
生姜やシナモン、羊肉、鶏肉など、
胃を温める性質を持つ食べ物を日常的に摂るようにしましょう。

3.週に一度は友人やパートナーとおしゃべりする。
 中医学には「百病は気から生じる」ということばがあります。
 楽しい時間は脳の疲れをとるものです。
ストレスは体のエネルギーである「気」の巡りを停滞させ、
「血」の巡りも濁らせます。
楽しいおしゃべりには、停滞した「気」を巡らせる効果があります。
週に一度はガス抜きタイムを作りましょう。

4.ナツメ+生姜茶で巡りアップ&胃を温める
 精神を休めるナツメ、胃を温める生姜は、
共に「心脾両虚」に効果的な生薬です。
ナツメ一粒、乾姜1枚をポットへ入れ、
5~10分抽出したお茶を飲むことを、朝晩の習慣に。
血」を補う黒砂糖を加えれば、更に効果的です。
皮をむいてスライスした生姜を電子レンジで1分加熱後、
天日で2~3日干せば、自家製の乾姜ができます。

5.黒い食べ物で脳のアンチェイジングを
 「心脾両虚」だけでなく、身体の老化自体が健忘を招いているケースもあります。
生命力をつかさどる「腎」は脳の形成にも関与してます。
ストレスのある生活は「腎」を弱め、年齢以上に脳の機能を低下させます。
「腎」のアンチェイジングには、黒ゴマ・黒豆・黒砂糖・黒クラゲを
キッチンに常備して老化を防止しましょう。

6.鍼灸師・漢方医に相談しましょう
「健忘」などの症状があれば、
自分勝手に市販の漢方薬を購入して飲むのは危険です。
中医学の専門である鍼灸師・漢方医に相談すれば、
個々の体質に合わせた治療や漢方薬を処方していただけ、
養生のアドバイスが受けられます。